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原田龍二

原田龍二

原田龍二

撮影/野呂美帆

象徴的な一つのキーワードについて、

原田龍二が縦横無尽に語る。第24回は「冒険」。

 5月中旬から6月上旬にかけて、長野県の佐久市というところで映画の撮影をしていました。佐久市は、山々に囲まれたのどかな雰囲気のとても良いところです。まだいくつか撮らなければいけないシーンは残っているんですけど、ひとまずは一区切りです。公開はだいぶ先になるので、またタイミングが来たら案内させてください。

 長野は黒姫高原に父親の会社の保養所があって、小学生だった6年間は毎年のように遊びに行っていました。大人になってからも旅番組などでよく行くことがあって、数えたことはありませんが、もしかしたら今までに一番訪れている県かもしれません。

 撮影がお休みの日には、佐久市の温泉にも行きました。春日温泉というところなんですけど、ここが僕の中ですごくヒットだった。佐久平駅から車で30分以上かかる山の中にあって、木漏れ日の中、虫の声を聞きながら入る温泉は最高でした。泉質も良かったですし、かなりの穴場なのでおすすめです。

寄せられた意見を

決してネガティブには

捉えていない。

 春日温泉は、周囲に飲食店がたくさんあるわけじゃないですから、旅番組などで紹介しづらい場所ではあるんです。でも、僕はそういういわゆる観光地ではない場所のほうがときめいてしまう。

 そういった意味では、YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」で訪れた三重県鳥羽市の神島もわくわくする島でした。海釣りが好きな方はよく訪れるみたいですけど、観光する島ではないので、民宿も少ないんです。名前の通り、本当に神秘的な島で、僕の冒険心もくすぐられました。

 みなさんは「ニンゲンTV」では初の試みとなる、神島を舞台にしたフェイクドキュメンタリーはご覧いただけましたでしょうか。全6編と番外編からなるシリーズなんですけど、これが想定外の反響でした。コメント欄を見ていただくとわかると思いますが、端的に言うと賛否両論です。もしかしたら否のほうが多いかもしれません。

 これまで「ニンゲンTV」では心霊スポットを巡る企画をやってきていたので、裏切られたという思いの方もいらっしゃいました。また、フェイクと銘打っておいてほしかったという意見があるのもわかります。ただ、それをしてしまうと、狙った効果は出せなかったわけで、とても難しい判断ではありました。視聴者のみなさんのそういった意見を参考にさせていただき、今後はより良いものを発信していければと思っています。

 僕はみなさんからの意見を決してネガティブには捉えていないんです。収穫は非常に多くて、一つは僕が役者だと認識してもらえたことです。

 特に若い人の中には、僕が役者だと知らない人がいっぱいいて、YouTubeで心霊スポットを巡ったり、テレビで裸になったりする人だと認識している人も多い。このフェイクドキュメンタリーで、役者としての原田龍二を知ってもらえたことは、賛否両論の中から僕が見出したポジティブな要素だと言えます。

 僕が役者だからこのフェイクドキュメンタリーの制作に至ったという部分も大きくて、それは他の心霊系のチャンネルにはない特徴なのかなとも思っています。

原田龍二

好奇心や探究心によって

突き動かされる

人間の姿を追っている。

 それに、「ニンゲンTV」というチャンネルがみなさんにどう捉えられているのか知ることができたのも良かったです。心霊系チャンネルではあるんですけど、あくまで主役は人間なんです。僕はこのチャンネルでお化けを見ることを目標にしていますが、その原動力となる人間のスピリットにも注目していただきたい。今回のフェイクドキュメンタリーも、世代の方は『川口浩探検隊』に通じるニュアンスを感じ取っていただけたと思うんですけど、基本的にはそうした好奇心や探究心によって突き動かされる人間の姿を追ったチャンネルなんです。

 ある番組でUMA(未確認動物)が住むとされる場所へ行ったときも、好奇心や探究心に突き動かされる人にお会いしました。ネス湖には人生を捧げているレベルで、もう何年もネッシーを追い続けている人が何人かいるんですね。そういう人たちの話を聞いたり、情熱に触れたりするたびに、僕も好奇心や探究心、冒険心をなくさずに突き進もうと決意するんです。

 だから、「ニンゲンTV」では心霊系に限らず、なんでもやろうと思っています。それこそ、中国の山奥にビッグフットを探しに行きたいし、タイの超常現象も体験してみたい。

原田龍二

 そして、いわゆる“物騒”な場所にも僕の興味は向いています。例えばブラジル・リオデジャネイロのファヴェーラなど、丸山ゴンザレスさんが行くような危険とされる場所にも行ってみたい。犯罪が起きる要因の一つは、貧困だと思うんですけど、現地の人々の暮らしに触れて、考えてみたいという思いもあります。何度も言いますが、やはり「ニンゲンTV」なので、霊だけではなく人間にもどんどんフォーカスしていきたい。自分が興味を持った物や人を自分なりに突き詰めていき、唯一無二のチャンネルにしていきたいと思っています。

原田龍二

原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『バラいろダンディ(金曜日)』(TOKYO MX)や『カラオケ大賞』(チバテレ)ではMCを担当。YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」主宰。

撮影/野呂美帆