象徴的な一つのキーワードについて、
原田龍二が縦横無尽に語る。第25回は「感謝」。
撮影/野呂美帆
象徴的な一つのキーワードについて、
原田龍二が縦横無尽に語る。第25回は「感謝」。
YouTubeチャンネル「原田龍二のニンゲンTV」を開設して3年以上が経ちますけど、今年の7月30日に池袋HUMAXシネマズで、初めてのファン感謝祭を開催しました。ここまで続けてこられたのは視聴者のみなさんのおかげなので、本当に感謝しかありません。
視聴者の方とお会いすることってほとんどないので、とても貴重な機会になりました。感謝祭をやることになったのも、どういう方たちが僕らのチャンネルを見ているのか、実際にお会いしたいというところから始まっています。コメントを見る限りでは高校生もいるし、ご高齢の方もいるんですけど、みなさんに共通しているのは“目に見えない世界”に興味がある人たちだということ。年齢は関係ないんですね。霊だけじゃなくて、心とか愛とか、縁とか前世とか、僕も含めて、みんな目に見えない世界の住人なんです。今回の感謝祭は、そういう仲間たちのつどい的な側面もあったと思っています。
我々の醸し出す
グルーヴを、
注入していきたい。
感謝祭の目玉の一つだったのが、降魔師の阿部吉宏さんによるお祓いです。我々は広大なジャングルに住んでいるわけじゃないので、日々生きていく中で人とのしがらみを避けることはできません。しがらみを抱えるうちに、本人が気づかないままマイナスの気を背負っているかもしれないし、もしかしたら生霊が憑いているかもしれない。そんな人たちの悪い運や悪い縁を今回の感謝祭で阿部さんに断ち切ってもらいました。阿部さんは、やはり普通の人が持っていない力を持っている方ですし、「ニンゲンTV」には欠かせない存在ですね。
阿部さんと一緒に「ニンゲンTV」をやりたいと思ったときのことはよく覚えています。この人とだったら、僕も強い好奇心を持ち続けたまま、一緒に活動できると思ったんです。阿部さんとお付き合いさせていただいて2年以上になりますけど、いま振り返っても、まったく自分の目に狂いはなかったなと。一緒にいて単純に心が踊るというか、ワクワクを共有できる人なんですよ。
僕らは「ニンゲンTV」で主に心霊スポットを巡っていますけど、霊が見える霊能力者の人って実はたくさんいるんですね。でも、見えればいいというものじゃない。能力の有無はひとまず置いておいて、僕は阿部さんの人間的な部分に惹かれたんです。だから、たとえば僕が霊を見ることができるようになったとしても、阿部さんは必要なんです。僕とは違う道を歩まれてきたし、経験値も高い方なので、実は霊だけじゃなくて、いろいろな話ができる。そこに僕は価値を感じていて、今後はもっと阿部さんのパーソナルな部分を引き出していきたいし、我々の醸し出すグルーヴをもっと注入していきたいですね。
今回の感謝祭は東京で開催しましたけど、ゆくゆくは違うところでもやりたいなと思っています。やはり物理的に来られない方も多かったようなので。
地方で感謝祭のような視聴者の方と交流するイベントを開くことによって、その土地の人しか知らない情報なども得られると思うんですね。僕らが心霊スポットを巡るときは、もちろん事前にリサーチをしますけど、ネットなどには載っていない情報も絶対にたくさんあるはずなんです。よりディープでコアな情報を、ぜひ教えていただきたいですね。
不要な情報から
距離を置くために必要な、
デトックスの時間。
そういう生の情報って、すごく貴重だと思うんです。いまの世の中は不要な情報があふれかえっていますよね。あまりにもさまざまな情報に浸かりすぎて、みんな何が大切な情報なのか、本当に必要なのはどういう情報なのか、わからなくなってしまっている。だから、僕は意図的にそうした不要な情報から距離を置くために、1日のどこかでジョギングをしたり、神社にお参りしたりして、なるべくデトックスをするようにしています。
1日の中でそういう時間を作ると、自然とある気持ちが湧き上がってきます。それは「感謝の気持ち」です。
僕の息子は、いまアメリカのバージニア州にいるんですけど、妻はアメリカで起きた犯罪のニュースなどを見ると心配するんですね。でも、日本にいても車に轢かれるかもしれないし、事故に遭うかもしれない。つまり、そういうことに巻き込まれなかった日は、もうそれだけで奇跡のようなものなんです。だからこそ、「無事に今日という日を終われた。ありがたいな」と感謝したほうがいい。なぜなら、それは感謝に値することですから。全然特別なことではないと思います。
感謝の気持ちを持つと、それはどんどん当たり前のものになっていきます。日頃から感謝できるようになっていく。たとえば、働いてご飯が食べられることへの感謝や、支えてくれる人たちへの感謝、生きていることへの感謝など、すべてのことに感謝するようになる。若いときはなかなか難しいかもしれませんけど、自分が自分でいられていることへの感謝はあるべきですし、そういう気持ちがあるからこそ、ご加護みたいなものもあると思うんです。人への感謝、物への感謝、ご先祖様への感謝。常に感謝しながら生きていきたいですね。
原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『バラいろダンディ(金曜日)』(TOKYO MX)や『カラオケ大賞』(チバテレ)ではMCを担当。YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」主宰。
撮影/野呂美帆