やがて本になるwebマガジン|FILT BOOK
原田龍二
象徴的な一つのキーワードについて、
原田龍二が縦横無尽に語る。第33回は「定番」。
 昨年の10月末に八丈島を訪れて、スポーツライブ+で放送中の『哀川翔のオトナ倶楽部』にゲスト出演させていただきました。この回はYouTubeでも視聴できますので、ぜひご覧になってください。
 八丈島は僕にとっても翔さんにとってもおなじみの島です。今回は翔さんと海上でカンパチ釣り対決をしまして、番組をご覧になった方はご存知かと思いますけど、残念ながら負けてしまいました。翔さんが大物のヒラマサ1匹とカンパチ2匹、僕はカンパチ1匹だけだったので白旗です。ただ、まったく釣れずにボウズだったら目も当てられませんでしたけど、なんとか1匹は釣れたので、名誉は守れたかなと思っています(笑)。
 実はカンパチだけなら僕のほうがサイズは大きかったんです。でも、あの大きなヒラマサと翔さんの咆哮を目の当たりにしたら、もう何も言えません(笑)。
原田龍二
温泉は昔から地球に存在していた
神様と交流できる場所。
 今回のカンパチも大きかったですけど、我々が目指しているのは20kg以上のカンパチですからね。そのサイズのカンパチが釣れてしまうとそこで終わってしまうので、ある意味、今回は釣れなくて良かったかもしれません。
 僕は八丈島の温泉大使を務めていますので、もちろん温泉にも行きました。昨年の2024年は八丈島の温泉事業30周年という記念の年だったんです。番組では、ふれあいの湯で番頭をさせていただき、翔さんと一緒に475万人目のお客様をお祝いしましたし、裏見ヶ滝温泉という僕が八丈島で一番好きな温泉にも浸かりに行きました。八丈島へ行ったからには、あの温泉の神様にご挨拶しないといけません。来たのに顔を出さないのは、ありえないわけです。
 そもそも八丈島に限らず、温泉はすごく特別な場所です。僕は完全にスピリュアルの側の人間なので、別に恥ずかしげもなく言いますけど、温泉は神様と交流できる場所なんですね。自然の中に存在しているものだから特別な力があるし、神様が宿っている。だって、人間が誕生するよりもはるか前から地球に存在していたわけですから。
 実際に、昔は「神の湯」として温泉が信仰の対象になっていましたし、温泉に救われたという人も多い。秋田県の玉川温泉などは、今も湯治の文化が残っています。僕が温泉の魅力に取りつかれたのは、そういう神秘的な面もあるからなんです。
 僕の中で印象的だった温泉の一つに、八ヶ岳の本沢温泉があります。本沢温泉は日本一標高の高いところにある野天風呂で、僕が行ったときは冬の山を2時間くらい歩いたんですけど、まったく苦ではありませんでした。どんな温泉なのかな、入ったらどんな気持ちになるのかな、と想像しながら歩くのが楽しかった。そういう想像力を掻き立てられる温泉が大好きです。
原田龍二
セリフではなく動きの部分で、
ポンコツさを出したかった。
 前もお話したと思いますけど、鹿児島県の硫黄島にある東温泉や、屋久島の平内海中温泉など、海に面した温泉も僕にとっては忘れられない出会いでした。いわゆる邂逅と言うんでしょうか。あちらも生きていますからね。その大地のエネルギーをいただくのが、温泉に浸かるということでもあると思うんです。
 そして、温泉と同様に、僕のライフワークになっているのがドラマ『相棒』です。皆さん、『相棒』の元旦スペシャルはご覧いただけましたでしょうか? 今回は僕の演じる陣川公平が珍しく泥酔しませんでした(笑)。酔っ払うシーンがない中で、セリフではなく動きの部分でポンコツ刑事であることをどう表現するか。それが僕の中のテーマでした。水谷豊さん演じる杉下右京さんとのかけ合いではなく、それ以外の部分でポンコツなニュアンスを出したかった。うまくいっていましたか?
 今回の撮影では、驚くこともありました。寺脇康文さん演じる亀山薫が運転席、右京さんが助手席、陣川が後部座席に座り、3人を乗せた車が銀座の街を走るというシーンがあったんですけど、車のシーンの撮影といえば、これまでは別の車で牽引したり、助手席にカメラを設置したりといったやり方が定番だったんですね。街中で撮影するので、距離も決まっているし、交通規制もしなきゃいけない。天気にも左右されるし、騒音も入ってきたりするし、とにかく大変なんです。
 でも今回は違いました。まず街中ではなく、撮影所での撮影だったんです。僕らがスタジオに入ったら、270°くらいの周囲を覆う超巨大なスクリーンが設置してありまして、その中心に車が置いてあるわけです。スクリーンには銀座の街が映し出されていて、映像が動くと車が走っているように見える仕組みです。これがものすごくリアルで、グリーンバックの合成とは比べ物にならないですし、実際に銀座の街を走ってもあそこまで綺麗には撮影できないんじゃないかな。天井にもスクリーンがあって、車のフロントガラスに銀座の空が映っているんですよ。それが本当にスタイリッシュで。
 スタッフも100人くらいいたと思います。要するに撮影のオペレーションを行うために必要なスタッフなんですけど、あの規模感はさすが『相棒』だと思いましたね。
 最近だと『相棒』の他にもBUMPというアプリで配信中のショートドラマ『サイコウさんは最高です!』にも出演しておりますので、よろしければ。あと、水森かおりさんとのデュエット曲「モナムール・モナミ~愛しい人よ~」も、引き続き応援よろしくお願いします。デュエット曲の定番になるとうれしいですね。
 2024年は仕事もプライベートも充実していました。辰年だったので、まさに僕の年だと思って活動してきましたけど、あるスピリチュアルの大家に言わせると、今年の2025年も「龍」がキーワードになるそうです。その話を聞いたときに、とても良い1年になる予感がしました。運を呼び込めるんじゃないかなと。これまで以上にスピリチュアルなことに光が当たる1年になるといいなと願っています。