FILT

編集後記

知野美紀子
FILT編集長。
あくびが
多い。

編集後記

勝ち取ってきた、表現の自由の上にいる。

2015.5.20

「表現は、自由か。」

というテーマ、みなさんいかが感じられましたか?

 なかなか難しいテーマでありながら、政治的にも芸術的にも「自由に表現する」ことについて様々な事件が日本を含め世界各国で起きている今だからこそ、このテーマについて市原隼人さん、木村文乃さん、Chim↑Pomのエリイさんにお話を伺うことができ、みなさまにお伝えできたことをうれしく思います。

 この取材を通して、個人的にひとつ心に残ったことがあります。それはChim↑Pomのエリイさんを取材してくださった美術ライターの白坂由里さんと取材の事前打ち合わせをした際に伺った言葉です。

 「表現の自由は先人たちが戦って得てきたものであり、今の表現の自由はその戦いの上にあるものです。それを忘れてはいけないと思います」

という言葉でした。

 表現というものは時代背景に大きく左右されるものです。
時には社会的な弾圧がかけられ表現することを抑制されたり、いやだと思いながらも命を守るため表現を時代に迎合した表現方法をとった人もいるでしょう。また、弾圧の中でも表現の喜びを心に秘めたまま活動をした人もいます。

けれども、そんな彼らが止まることなく活動をしてきたからこそ、表現をすることの自由の“限界線”が少しずつ少しずつ広がっていき、私たちが表現をする、つまり、自分の人生を謳いあげる喜びを手にしているのだと、改めて白坂さんの言葉で気が付きました。

とはいえ、私には今回取材をさせていただいた3人の方々のような特別なことはできません。だからこそ、彼らの言葉を「FILT」を通して伝えることで、「FILT」を見てくれた人たちが会話をするきっかけになれば、と思います。

そして、そこから新しい考え方や、楽しみ方を読者のみなさんが発見されることが、まさに「表現」なのかな、と感じています。



ちなみに今回は、絵具などを使用した撮影で“自由に表現”することを演出してみました。
木村さんの撮影では、カメラと木村さんの前にガラスペイントで色を付けたアクリル板を挟んで撮影をしました。写真はジャクソン・ポロックがのりうつったかの様に、アクリル板をペイントするカメラマンのヤンさんです。

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