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小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!

小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

音楽その12

2016.1.20

先日ライブで演奏中にすごく考えさせられたことがありました。

ホ二人旅の名古屋公演、楽運寺というお寺でのことです。
僕らが歌ってる後ろに仏様が鎮座していたからというのもあったのかもしれないのですが、自分で歌ってて、その歌詞の意味を自分で分かってきたというか、そういう瞬間があったんです。

不思議なもので、歌詞というのは、書いている時点では当然その時の気持ち・想いがあって書いているわけで、その歌詞の中のメッセージは100%理解しているのですね。
まあ当たり前ですよね、自分で書いているのだから、意味分からないけど書いているってことはないですよね。

でも、その歌詞が一度曲になって時間が経つと一人歩きするというか、歌詞として個別の人格のようなものを持ち始めるのです。

例えるなら、人間と一緒で、生まれて子供のうちはまだ親の子ですよね。
でもどっかで自我が芽生え、経験が足され、中学生くらいかな、もう完全に一人の人間ですよね。
もちろんその親から生まれたので、その親の色んなところをDNAとしてあるいは教育として受け継いでいるわけですが、でももう一人の人間として存在していますよね。

で、いつか自分から出てきた子供の姿を見て、あるいはその子供の発言に、逆に親が色々考えさせられたり学んだりすることってありますよね。

それと同じで、歌詞も元はといえば自分から出たものなのですが、それが世に出て、どこかのタイミングで自分に返ってくる時に、もう一人前の歌詞になってて(笑)、その歌詞を作ったはずの自分が、その歌詞から色んなことを教わるというようなことがあるんですね。

例えば「恋はいつも幻のように」という曲の
「遠く続くこの長い道で キミと僕がすれ違った」
っていう歌詞の「キミ」

それを今になって自分で
「あ!あのキミってこの人のこと言ってたんだ」
みたいに思うことがあるのです。

あるいはコンパクトディスクという曲の
「コンパクトディスクは地球にとても悪いらしい でも僕はそれを売って喜んでる 僕らは地球を考えていこう」
っていう歌詞を歌いながら
「ああ、あれってこの時代のことを歌っていたんだな」
みたいに、10年20年して、自分で書いた歌詞の意味がやっと分かることがある。

欲望の
「今も何かをキミに伝えては 何かを忘れていくのだろう」
とかも
「ああ、この瞬間のことを言っていたのか・・」
ってあたかも予言のように、過去の自分の歌詞に今の自分がズバっと刺されることがある。

そういう瞬間がライブの歌ってる最中にあったのです。
「あ、この曲このことを歌ってたのか・・」

って。 昔、ローリングストーンズとか大御所のライブを見てて、何十年も同じ歌を歌い続けてて、どっかで飽きるとかないのかな?と思ってたのですが、自分が続けてみると、ほんとそれってないんですね。
むしろ時間が経つにつれ、その歌詞から教わること考えさせられることが多くて、毎回新鮮な気持ちで歌える。

たぶん名古屋公演で歌いながら感じたことと、この次の札幌公演で感じることもまた違う。
だからツアーは続くんですね!

THE SHOW MUST GO ON

ってそういうことなのかな。

というわけで、ホフディランのツアーはまだまだ(たぶん一生)続くのです!

そして皆さんも、(ぜひとも一生)来続けないといけないのです(笑)。