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小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!

小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

音楽その7・前編

2015.8.20

Apple musicが6月30日(正確には7月1日の0時)から始まりました。
いわゆる定額制の音楽配信サービスです。
僕は定額制のサービスを今まで利用したことがなかったので、まだまだこれから知るべきことが沢山あるのですが、あえて使い込む前のファーストインプレッションを書いてみたいと思います。
だってね、そっちの方がよっぽど記録として大事な気がするんですよ。
使いこんでしっかり語れるようになった時点ではもうそのメディアって普通になってるわけだから、それよりも、例えば初めてipod使った時の感想とか、iPhone手にした時のワクワクとか、もっと遡れば中学生の時初めてCDプレイヤーを使った時の感想とか、小学生で家に初めてビデオデッキが来た時の感動とかさ、そういう方がむしろ記録として面白いでしょ。
なので、これは大げさに言うならば未来への手紙です。初めて定額制の音楽サービスを使った古代人ってこんな感じだったんだよっていう。

というわけで、夜中0時ぴったりにアプリをダウンロードして、サインインして早速使った一番最初の感想は
「今までさんざんCD買ってきたのはなんだったんだ・・・」
です。
小学校4年くらいから洋楽にはまって、もちろんレコードから始まり、CDになり、ダウンロードになり、毎月何万円もCD(ついこう呼んでしまいますが、要はアルバム)につぎ込んできた訳ですよ。
それがね、全部あるわけ、ここに。
家に何百枚もCDがある人も、1枚もCD持ってない人も、同じ月額980円で全く同じ立場になったわけですよ。
そりゃないだろ!!って思うでしょ?
3年前に買ったblurのBOXセットなんて2万5000円もしたんだよ、それがあんのよここに(正確に言えば微妙にないトラックもあるんですが)、ボックス買った僕も全くblurなんて知らない人も、これからは全く同じ条件で聴けるようになっちゃったわけです。
もっと言えばね、つい先週1500円で買ったアルバムとかも無料で聴けるわけですよ。おいおい、先週買ったのになんだよ!って思うでしょ。(実際は無料ではなく定額ではあるんですが・・)
みなさん自分のコレクションに置き換えて考えてみてください。

スニーカーマニアの方、今までさんざん集めてきたスニーカーが、ある日突然誰でも履きたい放題になったらどうですか?

古本マニアの方、ある日突然誰でも全ての本が読み放題になったらどうですか?
妖怪ウォッチ好きのキッズたち、せっかく集めた妖怪メダルが明日から突然クラスメート全員に(妖怪ウォッチに全く興味ない女子にまで)配られたらどうですか?

なんかすごくせこい感想になってしまいますが、ほんとまずはそれなんです。
そして、これ実はすごく重要なことだと思うんですよ。
というのは、つまり音楽のヘビーユーザーであればあるほど、このサービスにある種のジレンマを感じてしまうわけです。今まで買ってきたCDの枚数が多ければ多いほど「なんだよ・・」って思うのです。
ipodやitunesが始まった時には、こういう感想はなかったわけです。
「やったー、これでさらに音楽楽しめる!」って思っただけでね、自分にとっての損はなんにもなかったから、音楽ファンはみんな素直に受け入れられたのですが、定額サービスは音楽ファンからしたらまず最初の入り口が「これまでの俺の努力をどうしてくれんだよ・・・」なんですよ。
これはかなり違うと思うのです、スタートとして。

などとちょっとうがった感覚を覚えたのがファーストインプレッション。
といいつつ、その後明け方5時頃まで完全にハマってしまったセカンドインプレッションは次回!