ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!
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2015.3.31
音楽について考えるこのコラムですが、先日大阪/東京でのワンマンライブが大成功だったということで、今回はホフディランのライブについて書きたいと思います。
2時間を超えるライブの約三分の一、7曲が新曲というちょっと実験的なライブだったのですが、来年の20周年に向けて新しいスタートを切ったホフディランをいい形で見せられて、ホントに良いライブになりました。
来てくれた皆さん、ありがとう!
さて、細かいライブレポは来てくれた人にどこかで任せるとして、僕からは今回一番印象的だったことを。
それは大阪でのトリプルアンコールと東京での渡辺神輿(わたなべみこし)。
大阪ではダブルアンコールが終わって、客席の灯りもつき退場のBGMも鳴ってる中で、お客さんが一向に帰ろうとせず拍手でアンコール。
すでに楽屋で私服に着替え、ビールを飲んでいた僕とたばこを吸っていたワタナベイビーですが、あまりに鳴り止まぬ拍手に、急遽お礼を言いにステージに戻り、その流れでさらなるアンコールとして『欲望』を演奏。
これはやっている僕らにとってもすごく感動的な瞬間でした。
そして東京はといえば、MCの流れで突然、渡辺神輿をやることに。
渡辺神輿というのは、ホフライブだけの謎の風習で、お客さんがワタナベイビーをみんなで担いで(ライブ用語で言えばワタナベイビーが客席にダイブして)物販ブースまで運んで、そのままワタナベイビーが物販をするという、かなり危なっかしくも楽しい風習でして、その際にワタナベイビーに触れると幸せが訪れるという、これまた後付けなご利益まで付いてくる珍イベントです。
大阪のトリプルアンコールも、東京の渡辺神輿ももちろん最初から企画していたわけではなく、お客さんとの盛り上がりでその場で突発的に起きたことです。
ここになにかまだまだ音楽の最高の可能性というか、醍醐味を感じたのです。
同じ音楽でも、ネットで曲を聴いているだけでは、こういう化学変化は絶対に体験できません。
そう思うと、音楽で大切なのは<聴く>ということと同時に<体験する>ということにある気がします。
ライブはまさに<体験>で、こればっかりは後でDVDで見てもCDで聴いても絶対に同じ<体験>にはならないんですね。
僕らミュージシャンがお客さんに与えたいのはこの<体験>なんですね。
もしかしたら、良いメロディーや良い詞、良い演奏なんかよりも、音楽にとって重要なのはどんな<体験>をさせるかだったりするかもしれません。音楽誌のインタビューなんかではよく『ビートルズ体験』とか『ロック体験』なんて言葉も使われますが、まさにビートルズを聴いたとかロックを聴いたではなく、「体験した」と言いたくなるくらいの衝撃を受けたということですよね。
そんなわけで、音楽における『体験』の大切さを、改めてお客さんからも教えられたライブだったのです。
さあ、これからも音楽を通して一緒にいろんな体験をしていきましょう!