妻がブログでも書いてましたけど、僕の父の携帯に振り込め詐欺のメールが来たそうなんですね。父と直接話したわけじゃないので詳しくはわかりませんが、業者を騙って連絡してきたみたいで。それだけ巧妙になっているということですよね。詐欺に備えるには、普段から気を引き締めて生活するしかない。危機感を持つことが何より大事だと思います。
昔、おやじ狩りなんて言葉がありましたけど、僕もおやじになって、他人から絡まれる可能性なんていうのは常にあるわけです。防犯という観点から考えると、僕の場合は体を鍛えておくのがベストかなと。有事の際に瞬間的に自分の体を動かせるような準備は常にしているつもりです。例えば、ひったくりに遭ったとしても、脚力がないと追いかけることもできない。そのためというわけでもないんですが、今年の夏はほぼ毎日ジョギングをしていました。
僕の仕事には定年がありませんから、少しでも元気に長く活動するためには、体力が重要になる。スタミナづくりのためのジョギングですよね。それに走るのって、自分との勝負なんです。マラソン大会に出るわけじゃないので、そこまでスピードは出しませんけど、体力の限界を見極めて、行けそうであれば「もうちょっと走ってみよう」とかはしょっちゅうです。そんなことを毎日してるので、バラエティ番組の長距離を歩くロケでも、僕は一切弱音を吐くことはありません。
ただ、体力的な準備はしてますけど、旅番組などでロケのための準備をしたことはないんです。前も話したと思いますけど、事前に調べたりせずに、自分が体験して感じたことが大事なわけですから。台本もいらない。例えば、前に台本のない二人旅のロケをした時に、相手の方は台本がないことに不安を覚えたそうなんですね。ある程度は準備しておかないと不安になると。でも僕は逆で、何が起きるかわからないからこそ、楽しめる性分なんです。
YouTubeチャンネル「原田龍二のニンゲンTV」で心霊スポットを訪れる際も同じです。僕自身は調べたりしません。これまでだいたい100ヵ所くらいは心霊スポットに行っていると思うんですけど、初期の頃はその場所にどんないわくがあるのか、なんとなくネットなどで調べたりもしていました。でも、まったくアテにならないんです。女性の霊が見える、男性のうめき声がする、赤ん坊の鳴き声が聞こえるとか書いてありますけど、その通りのことが起きるとは限らない。正直、心霊スポットとは名ばかりの場所もありました。
先入観を持たないことが大事なんです。僕は役者なので、それは初めて共演する方に対してもそうですよね。「あの人はこういう人だよ」なんて噂を聞いたりもしますけど、だいたいはアテにならない。対峙してみて、自分なりの印象を持つことがその人への礼儀だと思っています。
演じる役についても、瞬間で感じて現場で動くことが大事。もちろん、セリフをすべて覚え、その役について調べるというのは大前提ですが。そうした準備をしっかりとした上での話です。
例えばプロボクサーの役であれば、ボクシングジムに通ってプロボクサーの方に教えを請うこともできますが、サラリーマンの役であれば、そこまで作り込むことも難しいですよね。そうすると、現場で監督からの演出にどう応えるかという“瞬発力”が大事になってくる。覚えたセリフが変更になることなんて当たり前ですし、瞬発力と順応力の勝負になる。「想定していなかったからできません」なんていうのは通用しないので。
来年公開される三島有紀子監督の『一月の声に歓びを刻め』で、僕は哀川翔さんの演じる誠の弟分を演じましたが、僕と翔さんの関係性が大きく反映された役だったので、自然に演じることができたと思います。翔さんとは以前にもお芝居で何度もご一緒していましたし、本当に義兄弟のような関係なので。ただ、自分では緊張していないと思っていても、体は反応していたんでしょうね。おにぎりを持つ手が震えていたそうです(笑)。
原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『バラいろダンディ(金曜日)』(TOKYO MX)や『カラオケ大賞』(チバテレ)ではMCを担当。YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」主宰。2024年2月9日公開の映画『一月の声に歓びを刻め』に出演。
僕が出演したパートの舞台は八丈島で、島に伝統芸能として伝わる八丈太鼓も叩きました。実は以前、親子で八丈太鼓を叩いている方たちの演舞を目の前で見たことがあって、今回、そのお二人に指導をしていただいたんです。その場で叩き方を教えてもらったんですけど、『世界ウルルン滞在記』でバリに行ったときに体験した「ジェゴグ」を思い出しました。ジェゴグは竹琴を使って奏でるバリの伝統音楽で、八丈太鼓とはまったく別物なんですけど、似たような高揚感があったというか。とてもいい経験でしたね。