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 皆さん初めまして、原田です。今回は記念すべき第一回目ですが……お騒がせしたタイミングでのスタートになってしまい申し訳ございません! 今後は一層、精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします(深々と頭を下げる)。
 「愛と平和の1時間」は僕の好きなものや思い入れのあることについて語らせていただく連載です。でもその前に自己紹介を兼ねて僕自身のことをお話させていただこうかと思います。
 僕が育った町は、東京は足立区、竹ノ塚。今回表紙の寺島進先輩は深川ですが、同じような下町でももうちょっとガラが悪い地域で。同級生の半分はパンチパーマかリーゼントで、暴走族に入っているような場所ですから、僕も決して優等生ではありませんでした。でも徒党を組むのが嫌いだったんですね。それは弟(本宮泰風)も同じで。だから、いつも兄弟で一緒にいました。弟はケンカが強かったのでそういう意味で目立っちゃうことはあったかな。“兄弟分”じゃなくて、本物の血の繋がった兄弟で不良って、周りにはあまりいませんでしたから。

 目立つのは好きじゃなかったけど……でも目立たないのも好きじゃない。天邪鬼なんですね。相反する思いが常にあって。そんな僕がこの世界入ったきっかけはスカウトでした。大学に行ったものの、何の目標もないまま喧嘩ばっかりしていたころ、街で声をかけられたんです。芸能人なんてカッコよくもないのに、カッコつけている人たちだって偏見があった。自分だってカッコつけてるんだけど、作られたカッコよさみたいなものに反発があったんです。だから最初は断ってました。でも何度か誘っていただくうちに、母親から「あんた、どうせロクなことしないんだったら、これも一つのチャンスなんじゃないの?」と諭されて……。弟も同じような状況だったので、僕がまず実験台になった感じもあります。兄貴に出来るなら弟もできるだろうっていう。長男ってそういう役割りなんですよね。ただ、事務所には入ったものの、やっぱり最初はやる気ゼロ。炭酸飲料水のオーディションに行ったとき「笑って」と言われて、「すいません、面白くないんで笑えません」なんて言って帰っちゃったりしたこともありました。

 ところが、当時のマネージャーに「逃がさないわよ」と連れて行かれたオーディションで準ブランプリを獲ってしまって……。それが「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。「やべぇ」というのが素直な感想でした。もう逃げられない……。その後、俳優のお仕事をいただくようになりました。でも演技の経験もスキルもないので、放送されるものが恥ずかしくて見れないんですよ。現場では監督とか助監督にすごい怒られる。「原田、オメーこうだろ!」みたいな感じで大勢いる中で怒られ、独りサブ(スタジオの副調整室)で正座させられたりもしました。僕はいつも「これ終わったらぶん殴って辞めちゃおう」と思ってた(笑)。

 そこからもコンスタントにお仕事をいただいて……主演をしながら「辞めよう」とずっと思ってたんです。そんな自分が変わる最初のきっかけは、本物のカッコよさを持つ先輩方と出会ったから。陣内孝則さんや哀川翔さん、藤竜也さんといった方とお仕事をさせていただくようになり「こんなカッコいい人いるんだ。捨てたもんじゃないな、芸能界!」と。中でも『汚い奴』(望月六郎監督)という僕の初主演Vシネマに寡黙なヒットマン役で出てくださった翔さんのカッコよさは尋常じゃなかった。どこがって、とにかく見た目です!

 当時はバリバリの“Vシネマの帝王”時代。真っ白のスーツを着てライフルを持っている姿や現場に車でバーンと乗り付ける姿までなにからなにまでカッコいい。弟なんか翔さんとまるっきり同じ髪型してましたからね。
 結局、俳優といっても、その人の持ってる本質的な部分が出るものなんだなぁと思ったら、演じることにも興味が湧いてきました。ただ、僕はカッコイイって言われちゃうと、自分ではカッコよくないと思ってるから照れ臭いんですよね。だから「面白いね」とか、「バカな人ですね」って言われた方が嬉しいんですけど……。

 さらに思いを変えたのは、ドキュメンタリーや旅番組での経験でした。『世界ウルルン滞在記』ではスリランカや、アフリカ、モンゴルなど、電気もガスも水道もないところへ行かせていただいて。まるで違った文化や人の心に触れるうちに、もっといろんな人に出会って、いろんな場所に行って、いろんな正解を求めて生きていきたいと思うようになったんです。

原田龍二

原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『5時に夢中!金曜日』(TOKYO MX)ではMCを担当。最新出演映画『武蔵-むさし-』が公開中。

 結局、僕は本質が「旅人」なんです。険しい道もあれば楽しい道もあるけど、ずっと一ヵ所にいることが好きじゃないんですね。ときにはジャングルに入ったり、迷路に入ったり、戦場に入ったり、思いがけずサンクチュアリみたいなところに出たりしながら旅を続けている。そういう意味で「旅人」だと思っているんですが……ただ、しばらくは、「僕=旅人」というより、「僕=変態」という感じでしょうけど……(と、うつむく)。

撮影/野呂美帆 取材・文/大道絵里子
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