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 大変な事態になってしまいましたが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。僕は何も変わらず……まぁ、外出の自粛をしたり、出かけるときはマスクをしたり、手洗いうがいを今まで以上にマメに丁寧にしたりといった変化はありますが、気持ち的には何も変わらずに元気でいます。なにより今は、家族と一緒に過ごす時間が増えて、それは一番よかったことだな、と思っています。
 ここ最近は、舞台『スマホを落としただけなのに』の稽古、本番と続き、まったく家族と一緒にゆっくり過ごす時間がなかったんですよ。舞台は3月20日から1週間やって、そのあとの公演はすべて中止になっちゃったんですけど……でもね、稽古だけして幕が開く前に休演になってしまった作品もあったと思うんですよ。そのことを思えば、僕たちはまぁ、1週間やることができたので、よかったんじゃないかなって。なんか、すべて良いように考えたいですよね。発想の転換じゃないけど。負けたくない、負のエネルギーに。

 家では自然と笑いに繋がることをやってますね。笑うことはとっても体にいいと思うので、ずっと家にいてイライラするという方には、ぜひ積極的に笑うことをおすすめしたいです。たとえば『ドリフ大爆笑』を見るとかね。
 この連載でも散々言いましたが、僕は大のドリフファンなので、うちの子どもたちにもドリフを見せて育てたんですよ。だから当然みんな志村けんさんの訃報にショックを受けていました。でも追悼番組として放送された『ドリフ大爆笑』や『志村けんのだいじょうぶだぁ』の名作コントを見ているうちに、自然と大笑いしていました。今もまったく色褪せないあの笑い。改めて素晴らしさに気づかされましたし、みんなで笑って笑って、さらに家族が仲良くなった気がしました。家族で笑いを共有できるって本当に幸せだなぁって。笑うことって免疫力アップにもなりますしね。それでいうと、家でも体を動かしたほうがいいと思うので、テレワーク中のお父さんには、ぜひお子さんと一緒にトレーニングをやってほしいですね。

 小さなお子さんと一緒に遊ぶだけで、かなり体力を使うと思いますが、やりようによっては良いトレーニングにもなるんです。たとえば腕立て伏せをするときに背中にお子さんを乗せてやるとかね。あと、お子さんが2人いるなら、左右の腕に子どもたちをぶら下げて、江戸時代の魚屋さんみたいなイメージで、天秤のようにトレーニングをするとか。うちも子どもが小さいときに、実際にやっていましたが、かなり鍛えられますよ。

 あとは『インディ・ジョーンズ』シリーズとか、“探検もの”の映画を観てストレス発散してますね(笑)。
 それと旅番組。NHKで朝早くやってる『小さな旅』と、『遠くへ行きたい』(日テレ系)、そしてテレビ東京でやってる出川さんの『充電させてもらえませんか?』は必ず見ています。人が旅してるのを見ているだけでも「擬似旅行」ができて、すごく楽しいです。綺麗な日本の風景とか、いきいきとした“人間の営み”みたいなものを見ていると、癒されるんです。そういうものを自然と欲しているんでしょうね。

 僕自身も、この大変な事態が終息したら、旅に行きたい。ようやく寒い冬が終わって、旅にも良い季節になろうとしていたから。
 今回、リモートワークなどでインターネット越しの交流が進んでいて、それは今とっても必要なことだと思います。ただ、人間同士って実際に触れ合わないと生まれないものが絶対にあると思う。僕にとって旅とは、人との触れ合いですからね。今はそれが一番難しいから悲しいですけど。この“見えない垣根”が取り払われたら、旅に行くのが今の僕の夢です。

 いつか必ず終息する日が来ると思うんですよ。そこからの明るい未来を、今はよくイメージしています。
 多くの人は、ある時期から自分が感染しないためだけじゃなくて、人にうつさないための行動をしようという意識に変わってきたじゃないですか。そういう人を思いやる風潮は継続してほしいなと思いますね。

原田龍二

原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『5時に夢中!金曜日』(TOKYO MX)ではMCを担当。ニッポン放送のラジオ『DAYS』の水曜パーソナリティを担当。

 東日本大震災の時も、みんなで節電しようという共通の思いやりがあった。でも時間が経つと忘れられてしまいましたよね。今回も、これが終息したからハイおしまいじゃなくて……全人類の人間力のレベルアップに繋がっていくんだとしたら、とても意味がある経験になると思うんです。今はしんどいけど、乗り切ればきっと今までに感じたことのないくらいの明るい未来を実感できると信じて。

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