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 僕がMCを務めていたTOKYO MXの『バラいろダンディ』が9月27日に最終回を迎えました。はじまりがあれば終わりもあるということで、出演者やスタッフ、そして視聴者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
 金曜MCを担当させていただいて3年半ほど。とても楽しかったですし、いい経験になりましたが、やはりMCの仕事は大変でした。時間が来れば必ずCMに行かないといけませんし、台本に沿ってコーナーも仕切らないといけない。ゲストにいらっしゃった方の話をもっとうまく聞けたんじゃないかと、反省もしょっちゅうでした。そういう意味では月曜~木曜のMCを担当されていたふかわりょうさんは、しゃべるのも仕切るのも断然うまい。「さすがだな~」と思いながらいつも見ていました。

 レギュラーのデーブ・スペクターさんが僕のMCぶりを「99点」とほめてくださいましたが、とんでもないです。正直な話、僕自身は「30点」くらいだと思っています。もちろん、ありがたい評価ですし、うれしいですよ。僕はデーブさんが大好きなんです。デーブさんは百戦錬磨の方ですから、僕が好きだというのをわかっていて、ああいうことをおっしゃってくれたんですけど、でも僕は自分に「30点」くらいしかつけられない。
 MCは限られた時間の中で、取り扱うニュースのコメントをもらいながら、次はどう展開していくのか、瞬時に判断しなければいけないんですね。僕はニュースやコメントのつなぎの部分、いわゆる「ブリッジ」がほとんどできていませんでした。ただ、「もっとああすればよかった」と反省することも多かったですけど、MCとして番組に携われた経験は僕の財産になりました。

 実は先日、世界遺産の屋久島でも素晴らしい経験をしてきました。『芸能人が転生したら…○○だった件』という番組のロケで島を訪れまして、漁師さんたちと7日間を共に過ごしたんです。
 番組は僕がトビウオ漁を体験するというもので、なかなか過酷でした。トビウオ漁は2隻の船で1500メートルの網を海に投げ入れ、今度はそれをローラーと手作業で巻き上げていくんですね。中には危険な作業もありまして、一歩間違えると命を落としてしまうかもしれない世界なんです。

 前に『世界ウルルン滞在記』のお話をさせていただきましたけど、まさに今回は自分のこれまでの経験を活かせるロケだなと感じました。『ウルルン』の漁といえば、思い出すのはスリランカでのカツオの一本釣りです。あのときほどではないにしろ、きっとハードなロケになるのは間違いないと確信していました。それでもワクワクしている自分がいる。ロケの前の打ち合わせでも「過酷だとは思いますが、全部楽しんでやります」と、スタッフの方に宣言しました。

 トビウオ漁はよほどの大しけでもない限りは毎日船を出しますし、揺れる船上での作業ですから、常に気を張ってないといけません。心身ともにタフな漁でしたし、漁師さんたちを尊敬しました。船長さんは僕より年下でしたけど、やはり人の上に立つ雰囲気がありました。頼りがいのある無口でかっこいい男でしたね。
 一緒に生活させていただく中で、漁師さんたちとも親交を深め、屋久島の温泉にもよく連れ立って行きました。

 そんな屋久島での生活を堪能したかと思えば、先日は演歌歌手の水森かおりさんとデュエットソングを出しまして、コンサートもご一緒させていただきました。本当にいろいろと経験させてもらっています(笑)。デュエットソングは「モナムール・モナミ~愛しい人よ~」という曲で、すでに発売していますので、興味のある方は聞いてみてください。
 デュエットは今年3月の御園座の舞台「水戸黄門」での水森さんとの共演がきっかけでした。水森さんが僕のYouTubeチャンネル「ニンゲンTV」を見てくださっているというところからはじまり、「一緒に何かやりましょう」と話が進んでいきました。まさかこんなに大事になるとは(笑)。

原田龍二

原田龍二 はらだりゅうじ 俳優。1970年生まれ、東京都出身。俳優として活躍する一方で、バラエティなどにも出演。『カラオケ大賞』(チバテレ)ではMCを担当。YouTubeチャンネル「ニンゲンTV」主宰。

 このデュエットソングは練習して歌いこむ歌じゃないと僕は思ったんです。だからレコーディングも練習せずに臨みました。本番前に軽く口ずさむ程度で。
 1人で練習すれば良くなるというタイプの歌ではなく、偉そうなことを言わせてもらうと、水森さんと2人で育てていく歌だと思うんです。成熟させていく過程でどんどん自分らしさや、歌の良さみたいなものが出てくるはずなので、これから先も長きにわたって歌い続けていきたいですね。

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