芸人として脂の乗り切った48歳。ふと、自身の趣味に思いを馳せる。
カンニング竹山が、さまざまな“好きなこと”を語るこの連載。
第7回は、いろんな角度から楽しめるという「アメフト」について。
撮影/橋本直貴
構成/大塩 大
スタイリング/濱中麻衣子(桐原事務所)
衣装協力/チェックハット オーバーライド明治通り店(03-5467-0047)
芸人として脂の乗り切った48歳。ふと、自身の趣味に思いを馳せる。
カンニング竹山が、さまざまな“好きなこと”を語るこの連載。
第7回は、いろんな角度から楽しめるという「アメフト」について。
僕とアメフトの出会いは30代の頃。アメリカの空港にトランジットで待っていると、テレビにアメフトの中継が流れていて、みんな夢中で観ていたんです。「なんでアメリカ人はこんなにアメフトを観るんだろう」と思いながら、意味もわからず観てみたら、だんだんエキサイトする理由みたいなものがわかってきて。それからは自分でも観るようになりました。でもルールも全然わからないので「まずは好きなチームを作ろう」と思って、シアトル・シーホークスというチームをチェックするようになりました。なんせ“ホークス”ですし、シアトルはボーイングの本社があるので(笑)。そこから、いろいろ試合を観ているうちに、アーロン・ロジャースという選手が気になってきて、そこから彼の所属するグリーンベイ・パッカーズも好きになりましたね。パッカーズはウィスコンシン州の田舎町のチームで、日本のプロ野球で言うと広島カープみたいなイメージ。株主が地元のファンたちで成り立ってるようなチームなんです。
アメフトの
試合を観るときは
QBに注目!
今年のスーパーボウルに出場したフォーティナイナーズ(49ers)は、ちょうどバブルの頃にジョー・モンタナが所属していたチーム。東芝がスポンサーでジョー・モンタナを起用したCMを流していましたよね。それもあって日本ではジョー・モンタナだけは知っている人が多くて、日本人に1番知られているNFLのチームも49ersだと思います。でもアメリカで1番人気のあるチームはシカゴのダラス・カウボーイズ。野球で言うと巨人みたいな感じで、伝統的に強いですね。
今はどのチームも補強として、どんどん選手を替えていくんです。選手を入れ替える1番の理由は「ケガ人が出るから」。たとえばちょっとした脳震盪でも、命に関わるから、すぐに交代になってしまう。一昨年は、クォーターバックのアーロン・ロジャースが途中でケガしちゃったから、パッカーズはボロボロでしたね。しかたなくセカンドのQBが出てくるんだけど、セカンドといっても大学では大スターだった選手。それくらい競争が激しいんです。特にQBは司令塔だから、そこの善し悪しで、試合は決まっちゃいますよね。
アメフトを知らない方が試合を観るときもQBに注目してください。QBだけがボールを前に投げて良いので、見つけやすいんです。最初のパスがQBに渡った時に、QBからパスを出すこともあるんですけど、QB自身が走る場合もある。そうなると相手も倒しにくるから、その攻防が面白い。QBがボールを前に投げるんですけど、そのときの距離が、よく投げたな、よく取ったな、よくここまで走ったな、という気持ちになる。すごく興奮しますよ(笑)。初めての人はQBのプレーの豪快さを観るのが楽しめると思います。
スーパーボウルというのは、NFLのチャンピオンを決める試合なんですけど、アメフトに興味ない人も絶対に観た方がいいのが、このスーパーボウルのハーフタイムショー。アメリカのエンターテイメントの全てが詰まっているというか、観た時に「ああ、日本のエンターテイメントは敵わないな」と思いますね。試合のハーフタイムに舞台を組んで、そこでゲストのショーが始まるんだけど、必ず、毎回一流の人たちがショーをするんですよ。だから、アメリカではスーパーボウルのハーフタイムショーに呼ばれるのは名誉なことなんです。近年だとビヨンセとブルーノ・マーズとコールドプレイの3組でやったときがかっこよかった。2014年のブルーノ・マーズとレッド・ホット・チリ・ペッパーズも印象深かったです。
自分の好きな
方向性から入ると、
何かが見つかる。
アメフト好きな日本の著名人は、まずNFLの番組(NFL倶楽部)にも出演しているオードリーでしょう。オードリーは高校時代にアメフト部だったし、番組でスーパーボウルにも行っているみたいですしね。あとは今だとブルゾンちえみとユニットを組んでいるブリリアンのコージ。彼は法政のキャプテンで、甲子園ボウル(大学アメフト日本一決定戦)にも出た第一線の選手。選手としての実力はすごいですよ。あとは相武紗季ちゃん。お父さんが元アメフト選手で、本人もアメフト好きみたいですね。ほかには、木村祐一さん。めちゃくちゃアメフトに詳しいんですよ。
アメフトをずっと観ていると、いろいろな要素があることに気づきます。格闘技や相撲の要素もあるし、同時に将棋のような要素もある。さまざまな要素が詰まったスポーツだから、自分の好きな方向性から入ると、何かが見つかると思うんです。僕は「戦略」を楽しむタイプなんですが、NFLの中継では、それを詳しく説明してくれるんですね。すごいプレーが出ると必ず画面上に黄色いサインが出て解説とビデオを流すから、見ている人が「本当だ!」とわかる。観ているうちに理解できてくるのが面白いと思うんですよ。そういったアメフトのさまざまな側面のどこかに引っかかってくれると嬉しいですね。
カンニング竹山 芸人。福岡県出身。テレビでは、『直撃LIVE グッディ!』『ノンストップ!』(共にフジテレビ)、『探偵!ナイトスクープ』(ABC)、『カンニング竹山の新しい人生、始めます!』(BSテレ東)など、ラジオは『たまむすび』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。また、著書『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ!』が発売中。
撮影/橋本直貴
構成/大塩 大
スタイリング/濱中麻衣子(桐原事務所)
衣装協力/チェックハット オーバーライド明治通り店(03-5467-0047)