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小宮山雄飛

小宮山雄飛

小宮山雄飛

撮影/野呂美帆
取材・文/安達 薫

ミュージシャン・小宮山雄飛が自分自身の事を語るこの連載。

第4回は、日本コロムビア時代について。

 10月に約5年ぶりのニューアルバムを発売したホフディラン。デビューから99年まで所属した古巣・ポニーキャニオンからのリリースということも話題だ。当時はその後、日本コロムビアに移籍し、3枚のアルバムと5枚のシングルを発表。

「日本コロムビアでピチカート・ファイヴや、ミッシェル・ガン・エレファント、コレクターズなどを手掛けた名物ディレクターの方が、ホフディランをやりたいとおっしゃってくださって。ホフのほんわかとした雰囲気の中にある毒気が好きだと。『どんどん新しいことをやってよ』と、デジタルやロックのようなホフの新しい部分を引き出してくれました。ポニーキャニオン時代の最後の方の作品は、どちらかというと僕のカラーが強かったので、移籍第一弾シングルはワタナベイビーの曲で元気な姿を見せようとしていたのですが、この頃は渡辺くんの調子があまりよくなくて。曲がレコーディングに間に合わないことが増え、遅刻が増え、そのうちスタジオにも来られなくなったので(笑)、結果的に僕の『長い秘密』になりました」

小宮山雄飛

ソロアルバムを出した後、

世界中を旅して

曲を作っていた。

 この移籍までの間に、半年間の休暇を取っていたという。

「99年にザ・ユウヒーズ名義のアルバム『AMERICAN SCHOOL』を出した後、世界中を旅していました。できるだけムダのないルートを考えて、最初は台湾をはじめとしたアジアへ。それからロサンゼルスからアメリカに入り、メキシコヘ。それからイギリス、イタリア、フランスへ。その合間に帰国しては、ライブをやったりしていました。向こうでは、日本に入っていないようなCDを探したり、新聞で調べてライブに行ったりして音楽を聴いて。まだiPodも発売されていないし、ネットも発達していない時代でしたから。それに、今だったらまず各地のレストランを探して食やお酒も楽しみますけど、当時は今ほどこだわっていませんでした。ボイスレコーダーを持って行っていたので、曲を思いついては録音してと、曲もたくさん作りました」

 その後に発売したシングル「TO THE WORLD」やアルバム『31ST CENTURY ROCKS』の収録曲「HISTORY」、「EXCUSE ME」など、ほとんどがそのときの旅でできた曲なのだそう。

 日本コロムビアから、タイトル曲シングル「MY THING」、「GET READY!!」、アルバム『PSYCO POP KILLER BEE』をリリース。その後ワタナベイビーのタイトル曲シングル「ふさわしい人」、ベストアルバム『OFF DYLAN』で、ホフディランは活動休止に入る。

「活動休止は僕からワタナベイビーに提案しました。理由はいろいろありますが、一番にはザ・ユウヒーズであれ、BANK$(小宮山率いる別バンド)であれ、どんな形であれ僕のソロ活動を、ホフディラン以外の活動をやらなければ、という気持ちが強くなったことです。  僕は解散するくらいの強い気持ちで活動休止を決意しました。ホフディランから独り立ちして、自分自身で勝負しなくちゃいけないな、という思いがあったので。渡辺くんは意外とキャラ立ちしていますからね。だからその頃から、意図的に雑誌などの連載タイトルに“小宮山雄飛の~”とつけるようになりました。“ホフディランの小宮山雄飛”ではなくてね。BANK$のライブでもほぼホフディランの曲は演奏していないんです。でも渡辺くんは、活動休止中のソロライブでもホフの曲を、それも僕の曲まで演奏していましたからね。どれだけホフディランを引きずるんだっていう(笑)」

小宮山雄飛

休止時、ホフディランへの

未練は全然

ありませんでした。

 対して、自身はホフディランへの未練はなかったのだろうか?

「全然ありませんでしたね。とにかく次のこと、次のこと、と考えていたので。僕は次が決まっていないと不安な質なんです。だからたとえばお寿司屋さんに入っても、入った瞬間に二軒目に行く店を考えているんです。下手するとマグロを注文して、食べながら『食べログ』で次のお店を探してる(笑)。全然お寿司に集中していないですね。先日の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ)の収録でも、次も呼んでもらえるようにはどうしたらいいか、呼ばれたらどう対応するか、と考えている(笑)。僕は前のことなんてどうでもいいんです。とにかく次のことが大事」

 では、今現在も、すでに次の活動について考えている?

「今は久しぶりに発売したばかりのアルバムのことを。同時に近々ソロ作品をリリースしたいとも考えています。アルバム1曲目の『僕のかわいい女の子』はもともとソロ用に録っておいた曲なんです。ニューアルバムにもう一歩インパクトがほしいと思い、入れました。ワタナベイビーにはマスタリングの前日に“この曲順でいきたい”とメールして。いつも半日くらい返信が来ないのに、これには1分半で“この曲順はおかしい!”と来ました(笑)。その気持ちも解りますけどね。初めて聴いた何の思い入れもない曲を1曲目になんてね。だから渋谷のデニーズで渡辺くんを1時間くらいかけて説得しました。“絶対これで大丈夫ですから、これにさせてくさい”と。今は渡辺くんも納得していますよ」

 ニューアルバムの中で小宮山氏も絶賛するのが、ワタナベイビーの「ヤンヤンヤン」。20年以上も前の曲だという。

「渡辺くんもようやく過去を受け入れました。今書いた新曲より、20年前に書いた曲がいいと言われるということは、今を否定される部分もありますからね。でも渡辺くんは基本的に褒められれば何でもいいので(笑)、わかってくれました」

 この「ヤンヤンヤン」で繰り返される“Baby キミの”というフレーズは、日本コロムビア時代の自身の曲「EXCUSE ME」の“ベイビー 君の…”というフレーズに繋がっていた。

「この時代と現在がリンクして、日本コロムビア時代もずっと聴いてくれているコアなファンもびっくりしてくれると思う」

 そんなニューアルバムが、リリースされたのだ。

小宮山雄飛 こみやまゆうひ ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「Rethink Lounge TORANOMON」のプロデュースなど幅広く活躍。NEWアルバム『帰ってきたホフディラン』がポニーキャニオンより発売中。また、ニッポン放送『小宮山雄飛 RELAX TALK BAR』(毎週日曜20:40~21:00)でパーソナリティを担当。hoff.jp

撮影/野呂美帆
取材・文/安達 薫