居酒屋を舞台に、ミュージシャン・小宮山雄飛が
ゲストとトークを繰り広げる、第八回。
撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子
取材協力/上越やすだ 恵比寿店
居酒屋を舞台に、ミュージシャン・小宮山雄飛が
ゲストとトークを繰り広げる、第八回。
仲良しのクリエイターとお酒を飲みながら縦横無尽に語りつくすほろ酔い対談。今回のお相手は鳥居みゆきさん、後編。
小宮山 やっぱり好きな音楽もサブカルって感じですよね。
鳥居 意識的にヴィレッジヴァンガード行こう、中野ブロードウェイに行こうとかいうノリはないけど、自然と好きなものがそっちなんです。小宮山さんはどういう感じですか?
小宮山 僕はね、初めてアンダーグラウンドというか、サブカル的な人と出会ったのが暴力温泉芸者の中原(昌也)君で。これから音楽を始めようって頃で、ちょっと一緒にやろうかってスタジオに行ったら「雄飛君、キーボード弾けるんでしょ?『ロンドン橋落ちた』弾いて」って言われて。弾き始めたら、中原さんがいきなり「ヴォア~~~!!」って叫び始めたんですよ。ピアノともシンクロしてないし、何が起きたんだろうと思って。途中でもう休んでもいいかなと思ってトイレに行って帰ってきたら、まだ「ヴォア~!」ってやってた(笑)。
鳥居 アハハハハ! それ、小宮山さん、いらないじゃん。
僕はもうちょっと
ポップな世界が
いいなぁと思った。
小宮山 当時はアンダーグラウンドのインディ音楽も好きだったんですけど、あまりにも僕が知ってる世界とレベルが違い過ぎて、やっぱり僕はもうちょっとポップな世界がいいなぁと思いました(笑)。鳥居さん、洋楽はあんまり聞かないんですか?
鳥居 アレは聞いてましたね。……忘れた。酔ってて頭が回らない。誰か分かりますか?
小宮山 いやちょっと……。
鳥居 えーと、なんだっけ……あ、マンソン、マンソン!
小宮山 マリリン・マンソンね。何となくそこかなという気はしてました。
鳥居 ホント偏ってるんですよ。だから好きなものはすぐ分かると思う。あとレゲエとか。昔は真っ白のインスパイアを低くして、ウーハー積んでレゲエかけながら走ってましたから。
小宮山 本当に!? レゲエは意外ですよ。
鳥居 あと、クラッシックは好きですね。
小宮山 クラッシックをちゃんと聞いてるといいでしょうね……。僕、全然聞けなくて。
鳥居 え~、そうなんだ。なんか、私と小宮山さんって全然違う人生ですね。
小宮山 じゃあ映画で共通点を見つけましょうか。語れるほど見てないけど。
鳥居 小宮山さんが好きそうな映画ってなんだろう。あ、レックスだ!
小宮山 レックスって『REX恐竜物語』? とりあえず違いますね。
鳥居 映画はサブ(カル)な方に行ってそうですけどね。『ブリキの太鼓』とか『エル・トポ』?(反応を見て)……じゃないなぁ。ああ、じゃあ分かった『バック・トウ・ザ・フューチャー』でしょ。
小宮山 まぁ、そうですね(笑)。そこはもう、しょうがないです。僕、デロリアン買おうとしてましたからね。
鳥居 えー! かっこいい~!!
小宮山 ホフディランが初めて渋谷公会堂でやったときに、会場にドライアイスを焚いて、デロリアンでブワ~っと出たらみんなビックリするんじゃないかなって(笑)。でもメンテナンスがすごい大変だって分かってやめました。
鳥居 買って欲しかったなぁ……まぁ、映画ってどのジャンルが好きかですよね。私はスプラッターが好き。生きてる人間の怖さじゃないですか。ウソもののお化けとかじゃなくて。
小宮山 呪いとかじゃなくて、ブシャー系だ。何かおススメあります?
やりたいって思ったら、
わりと早いうちに
叶うんです。
鳥居 白石晃士監督の……なんだっけ、指を切り刻んでネックレスにするヤツ。
小宮山 絶対に見たくないですね(笑)。
鳥居 あ、『グロテスク』だ! イチオシです。軽いのとかだと『ネクロマンティック』かなぁ。あとはそれと同じ監督の『シュラム死の快楽』とか……。
小宮山 すいません、やっぱりやめておきます(笑)。それこそ鳥居さんてホラー映画に出たりしてますよね。本も書いてるし、本業以外のこともたくさんやってますけど、自分から望んでやってる感じですか?
鳥居 そう。これがやりたいって思ったらわりと早いうちに本当に叶うんですよ。ホラー映画出たいって言ったらオファーが来たり。ありがたいことに向こうからきてくれる。
小宮山 あ、僕もそこは似てますね。カレーも好きだって言ってたら本を作ることになったり、なぜか渋谷区の大使になったり……でも鳥居さんていろいろやってもまったく悪く言われてないからいいですよね。僕、言われますもん。
鳥居 そうなんですか? 被害妄想じゃなくて?
小宮山 被害妄想じゃない(笑)。ミュージシャンって“アーティスト幻想”があって、ビジネスっぽいこととか芸術以外をやると、ファンからも仲間からも叩かれがちなんですよ。
鳥居 あ~、好きでやってる! っていうのを強調すればいいんじゃない? カネを匂わせないで。
小宮山 そうそう。そもそも好きでやってるのに、必要以上にアピールしなきゃいけないから、その辺羨ましいですよ。 今、やりたいことはほぼできてる感じですか。
鳥居 う~ん……あ、人の歯が好きで、昔は歯科助手のバイトをしてたんですけど、今も歯石を取りたくて手が震えてくるときはあります。粘膜を見せるのは恥辱じゃないですか。無防備な状態を見たくなるんですよ。あとグロいスイーツを販売したい。昔から趣味で作ってて、脳みそとか目玉とか。
小宮山 歯はともかく、グロスイーツいいですね(笑)。僕も今、オーガニックのスーパーフードを配合してオリジナルのグラノーラみたいなものを作るのにハマってるんですよ。うまくいったらブランド化して販売しようかと思って。
鳥居 それ、なんか「好き」より、ものすごくカネが前面に出てますけど大丈夫ですか?(笑)
鳥居みゆき とりいみゆき 芸人、女優、映像監督、小説家など、ジャンルをまたぎ幅広く活躍中。独特の世界観にファンも多い。「東北魂TV」(BSフジ)などにレギュラー出演中。
小宮山雄飛 こみやまゆうひ ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュースなど幅広く活躍。ライブ情報など、詳しくは「hoff.jp」へ!
撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子
取材協力/上越やすだ 恵比寿店