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小宮山雄飛×能町みね子

小宮山雄飛×能町みね子

小宮山雄飛×能町みね子

撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子

居酒屋を舞台に、ミュージシャン・小宮山雄飛が

ゲストとトークを繰り広げる、第三回。

仲良しのクリエイターとお酒を飲みながら縦横無尽に語りつくすほろ酔い対談。今回のお相手は「カレーの会」で知り合ったという、エッセイストの能町みね子さん、前編です。

小宮山 最初に会ったのは僕らの共通の友人、ユザーン(インドの民族楽器、タブラ奏者)が「カレーを食べる会」みたいなのをやったときですよね。南伸坊さんと、阿川佐和子さんとユザーンっていうわけわかんないメンツで、さらに能町さんもいたからこれはすごいなと思った(笑)。確か能町さんは、『オールナイトニッポン』の生放送の前でした。
能町 そうです。そのメンツなら、そりゃあ、生放送前でも行きたいなって(笑)。小宮山さんとはあまり話せませんでしたけど、後日集まったときに言ったかな……私、ホフディランを初めてテレビで観たときのこと、鮮明に覚えているんです。
小宮山 なんでしたっけ。聞いたかもしれないんだけど、酔っぱらって覚えてないから教えてください(笑)。

小宮山雄飛×能町みね子

インパクトが強いし、

完全にコミックバンドだと

思いました(笑)。

能町 『TK MUSIC CLAMP』という番組が高校生のときにやっていて。あれ好きだったんですよ。
小宮山 あ~、それ、最初に僕たちがテレビに出たやつだ。デビュー前ですよ。
能町 小室(哲哉)さんの番組なのに、ジャンル違いのミュージシャンも出てたりして。
小宮山 メインは小室さんと大物ゲストのトークで、KEIKOさんがやってたサブコーナーに当時のインディの人たちが出てたんですよ。
能町 あ~、そうでしたっけ。中原昌也さんが暴力温泉芸者として出ていた回も衝撃的で、よく覚えてますね。そういうコーナーにホフディランが出てきて『サガラミドリさん』をやってた。曲も名前もインパクトが強いし、完全にコミックバンドだと思いました(笑)。
小宮山 アハハ。僕、まだ大学生でした。
能町 あ、学生服、着てましたよね?
小宮山 そう。でもあれは僕がリアルに着てたやつじゃなくて、デビューが決まってから衣装として広尾の学生服屋さんに作りに行ったやつなんですよ。「これから入学なのか」って聞かれて「いや、違うんですけど」って(笑)。
能町 ダンサーみたいな人もいませんでしたっけ?
小宮山 あの頃はかせきさいだぁと、シャシャミンってイラストレーターと、タケイ・グッドマンってスチャダラパーとか小沢(健二)くんのビデオを撮ってる映像作家の三人が、ダンサーやコーラスとして遊びで参加してたんです。
能町 え、そうなんですか!? バックダンサーとして何てことなく見てたけど、すごい人たちだったんですね……。

小宮山雄飛×能町みね子

酔っ払って

打ち解けたことを

覚えてない。

「友達になれる人、なれない人」
小宮山 能町さんって、こういう人は友達になれるなとか、なれないなって線引きあります? 誰とでもすぐ友達になるタイプじゃないでしょ。すごく勝手なイメージですけど。
能町 う~ん、でもいきなり友達になる場合もあるんですよ。向こうが、私に対してなんのバリアもなく、ガンガン来る方がむしろいいんです。人見知りする人だと私も合わせて人見知りしちゃって……。
小宮山 あ~、ユザーンもガンガン来るタイプですよね。
能町 そう、ユザーンってビックリするくらいため口なんですよ(笑)。私は年下だから全然いいんですけど、『ヨルタモリ』のときもタモリさん以外にほぼ敬語使わないですからね。宮沢りえさんに対しても何にもビビんなくて、それがもう衝撃で。
小宮山 僕なんか、宮沢りえがいたら何にもしゃべれなくなりますよ(笑)。
能町 最初のカレーの会のときだってユザーンが宮沢さんを普通に誘ってて、予定さえ合えば来るかも知れなかった。仲間内の食事会があったとしても普通はなかなか宮沢さんを誘おうとは思わないけど、ユザーンは普通に思っちゃうんですよ(笑)。
小宮山 そういうところ、本当にうらやましいなあ……。僕、そんなにバリアはないけど、ため口はできないんですよね。
能町 私も無理です。5、6年付き合っても敬語の友達いますからね。酒飲んだらたまにイケることがあるんですけど……。
小宮山 僕も酔わないと打ち解けられないんだけど、酒を飲んだら記憶がなくなって、打ち解けたことを覚えてない(笑)。ちなみに、SNSとかネットで知らない人と交流することとかあります?
能町 たまに。私の場合、デビューもブログから始まっているので、見てくれている人と距離が近いというか、いろいろとやることが広がっても、友達を応援するような気持ちでついて来てくれる人が多いんです。

能町みね子 のうまちみねこ 週刊文春「言葉尻とらえ隊」などのコラム、エッセイ、漫画の執筆からテレビ・ラジオ出演まで幅広く活躍。近著「能サポ」(談社文庫)「能町みね子の純喫茶探訪 きまぐれミルクセ~キ」(オレンジページ)など。

小宮山雄飛 こみやまゆうひ ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブディレクター。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュースなど幅広く活躍。4月より「ホ二人旅」が開催中。新曲も無料で配信中!詳しくは「hoff.jp」へ!

撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子