今回の「トーク侍」は寿大さんが「尊敬する先輩」と仰ぐ、俳優・加藤雅也さんの登場です。
寿大 雅也さんとは今年5月に放送されたテレビ朝日のスペシャルドラマ『復讐捜査~警察犬と刑事の殺人追跡行~』で共演させていただきました。
加藤 撮影は去年の11月だったね。撮影時に、FMヨコハマでラジオ番組やってるので「メールしてくれたら読むよ!」って言ったら、本当にメールしてきてくれた。大抵「します!」とか言ってもしてこないのが普通だけど。だから「お!」と思って、ゲストに来てもらったんだよ。
寿大 本当に呼んでいただけるとは。びっくりしました。
加藤 約束は守らないと。それに、社交辞令は言わないから。
寿大 嬉しかったです。僕、雅也さん、憧れなんで。
加藤 嘘つけ!(笑)
寿大 本当ですよ! 雅也さんって博識で、映画を観てる量もすごいし、政治や社会情勢も知識が多岐に渡っていて。
加藤 いやいや、それは毎日ニュース見てりゃ、いやでも入ってくるようなことばかりだから。
寿大 昔からニュースに興味があったんですか。
加藤 いや、子どもの頃は父親がニュースを見てると「やだな~」と思ってたよ(笑)。こういう仕事には必要なことだし、いまはラジオやってる関係もあるんだろうけど、よく見る。
寿大 ニュースを見るのは、役作りにも関係すると思いますが。
加藤 そうだね。話はすこし違うけど、例えば歴史上の人物を演じるとき、その人物についての本だけじゃなく、逆説とか、違う観点からの本も読む。「こういう見方もあるのか」ってわかっておもしろいから。“茶屋”って言葉が出てくると、“茶屋”ってどんなとこだったのか、とりあえず調べてみる。すると「江戸時代の茶屋って、意外と不倫に使われてたりする」とか。「茶屋のねーちゃんって、ホステスみたいなものだった」とかさ。自分がやろうとしてる役とは関係なくても、読んだりする。
寿大 よくわかります。でも、僕も勉強するようにはしているのですが、役を研究したいけどセリフも憶えなきゃいけないし、時間がタイトなこともありますよね。
加藤 でもさ、一回学んだことは知識として入るわけだから、大変でも色々と勉強しておくと財産になるわけ。セリフを憶えるだけだと、その仕事が終わったらそれでおしまい。何も残らないでしょ。
寿大 確かにそうですね。
加藤 知識を蓄えとけば、いずれ利用できるじゃない。俳優以外の分野でもね。
寿大 雅也さん、アメリカに行っていましたよね。その経験も役者としての在り方のもとになっていると思うんですが。
加藤 そうだね。俺はモデルからいきなり主役でデビューさせてもらって、その後何本も主役をやらせてもらったけど、正直、演技の基礎がなかったわけ。自分の実力と虚の自分との差がでかすぎて、いつかそれがバレたときにはとんでもないことになるって思ってた。でもバレる前にちゃんと「実」を身につけていればいいか、と。それで、33歳のときに勉強を兼ねて渡米したんだ。
加藤雅也 かとうまさや 俳優。1963年生まれ、奈良県出身。映画『BROTHER』『テラフォーマーズ』『真田十勇士』などに参加。最新出演作『二階堂家物語』が2019年1月、『キングダム』が2019年4月公開。毎週土曜深夜1時からFMヨコハマで「加藤雅也のBANG BANG BANG!」が放送中。
寿大 決断できるのがすごい。
加藤 アメリカの有力なエージェンシーから、「アメリカに来ないか?」という話になったのもきっかけの一つだけどね。でも、そのエージェンシーで内部分裂が起きて、エージェンシーが最終的には解散。どうしようかと思ったけど小さいエージェンシーに移籍して英語の勉強と演技の勉強を続けながら、オーディションを受けることにしたんだよね。
寿大 演技メソッドを学んで。
加藤 そう。海外ってそういう勉強をするから、演技を感性だけでやらないんだよね。基本の上に自分の感性や味付けをのせていく。
寿大 僕が最近思うのは、今はもちろん充実していますが、役者になりたてのころのほうが無我夢中で楽しかったかなぁとか思うこともあって。その辺、雅也さんはいかがですか?
加藤 確かに。でも、俺は全然飽きないね。歳を取るほどやらなきゃいけないことが増えるし、また新しいことを始めるからおもしろい。
寿大 確かにそうですね! 雅也さんの『カンナさーん!』のデザイナーの役、意外でおもしろかったです。
加藤 あれもね、元々はもっとクールな役だったの。でもそれじゃいつもの感じの役だなと思ってね。遊びを入れてみた。意外とそうやって作ったキャラの方が愛されることが多いよね。
寿大 聡 じゅだいさとし 俳優。無名塾26期生。舞台『婢伝五稜郭』『荒木町ラプソディー ~地層捜査~』や映画『地球兄弟』に出演。10月の舞台『トワイライトムーン』では主演を務める。映画『ウスケボーイズ』公開中、最新出演映画『こはく』が2019年5月公開。
加藤 役作りって実は脚本の中にいっぱいヒントになることが書かれてる。セリフだけを憶えてるとスルーしちゃってることが多いけど、単語一つでも「なんでこの言葉なの?」って考えると、そこにヒントがあるはずなんだ。
寿大 わかります、僕もそのヒントに助けられるところあります。今日のお話、芝居の糧にさせていただきます。
加藤 そういうとこ寿大は素直だね。だから可愛がられる。素直は最大の武器!
寿大 はい!
加藤 “役者バカ”になるのはいいけどくれぐれも“バカな役者”にはなるな、ってね(笑)。
寿大 (笑)。心します!