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 お酒は親父が毎晩飲んでいたので、子どものときから詳しかったかもしれません。その頃は、親父の羽振りもよくて、「ナポレオン」を飲んでいましたね。貿易の仕事をしていて海外で「ナポレオン」をいっぱい買ってくるんですよ。でも僕は子どもだから意味がわからず、「これは親父のウイスキーだ」ってただ思っていて。しばらくして商売が傾いた時には「だるま」と「角」になりました。で、バブルの時に商売が持ち直すと、また「ナポレオン」を飲んでいました(笑)。
 僕が本格的にお酒を飲み始めたのは、東京に出てきてからですね。一人暮らしをしたときから、なんとなくビールを飲みだして。そこから体重も増えてきた(笑)。当時はバイト先の人と飲みに行って、今まで飲んだことのない関東の酒を覚えました。たとえば「ホッピー」。僕の生まれた九州には、当時「ホッピー」は浸透してなくて。あとは、サワーなども当時の九州にはライムハイやレモンハイくらいしかなかった。東京でいろいろな種類があることを知って、そのあたりからお酒を飲むことが面白くなっていったんです。

 お酒は強いですね。酔うか酔わないかは、周りの人によります。先輩とか目上の人と飲んでるときは、絶対酔いません。ただ、後輩と思いっきり飲んでるときには酔っぱらうこともあります。
 昔、後輩と毎晩飲んでいた時期があって。当時僕は、中野坂上のマンションに住んでいたんですけど、仲の良い後輩たちも偶然、僕のマンションの周りに住んでいて。当時みんな独身だったりもしたもんで、仕事が終わってだいたい22時か23時ぐらいに中野坂上に帰ってきて、近くの居酒屋にいつも集まって飲んでました。次の日が朝7時や8時の仕事でも全然平気。深夜2時~3時まで飲んで、あーでもないこーでもないってくだらない話をして。それで酔っぱらって歩いて帰るんですけど、みんな近所だからマンションまで僕のことを送ってくれるんですよ。僕は「死体ごっこ」って言ってたんですけど、いたずらでマンションの前で急に全身の力を抜いて死んだふりをするんです(笑)。僕は8階に住んでたんですけど、8階まで後輩たちが死体になった僕を運ぶっていう、後輩たちの一番嫌がる遊びをしてましたね(笑)。















 お酒といえば、うちの事務所の髭男爵のひぐち君がワインエキスパートの資格をとったんですよ。彼は今、辰巳拓郎さんが会長の「日本のワインを愛する会」という団体の副会長になっているんです。ひぐち君は努力家で、畑仕事なども手伝いに行ったりするから、酒屋さんには卸さないけど、ひぐち君には卸すというワイナリーさんもいるんですよ。そのワインをひぐち君に飲ましてもらったりして、うんちくを聞いて「そういうワインなんだ」と知るうちに、僕も日本ワインが好きになっていった。しかも日本ワインは高くないんですよ。良いワインといっても、高くても1万円と少しくらいなんです。

 日本酒だと、僕が一番おいしいと思っているのは、会津の酒造の「央(おう)」。神楽坂にある「蕎楽亭」というミシュランで星をとった蕎麦屋があって、大将が会津の生まれの人で、そこに「央」っていう種類の酒が何種類か置いてあったのが出合い。「竹山くん、これおいしいから飲んでみて」と勧められて飲んで、本当においしくて感動しちゃって。大将に聞いたら会津の小さな酒造らしく、東京ではほとんど手に入らなくて、大将が1ヵ月~2ヵ月に1回、仕入れに行っているんだって。
 ダウンタウンさんの番組で紹介したときも、そんなに日本酒を飲まない松本さんが「うまい!」とおっしゃって、それで店のアクセスがパンクしちゃったみたいで……あれは申し訳なかったですね。

 他にも、良いお酒が飲める店で思い出すのは、和田アキ子さんに教えてもらったホテルオークラの「オーキッドバー」。今から5、6年くらい前に「こういう所の飲み方も覚えた方がいい」と連れて行ってもらいました。そこでアッコさんが「ボトル1本入れてあげるから」と言って全然見たことないウイスキー並べてくれて、「どれでもええで」って。僕、わかんないからラベルだけで選んで、アッコさんが「いくら?」と聞いたら「1本8万円です」って。さすがに「高いわお前!」って怒られました(笑)。でも結局そのボトルを入れてくれて、フルーツの頼み方とか、お酒の飲み方とか、所作を全部教えてもらいました。

カンニング竹山

カンニング竹山 芸人。福岡県出身。テレビでは、『直撃LIVE グッディ!』『ノンストップ!』(共にフジテレビ)、『探偵!ナイトスクープ』(ABC)、『ビビット』(TBS)など、ラジオは『たまむすび』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。また、著書『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねぇかよ!』が発売中。

 良い店を見分ける基準の一つに、どんなお酒が置いてあるかというのがあると思うんですよ。ひぐち君とお店にワインを飲みに行くと、何種類もワインが置いてあるけど1本も飲まないようなときがあって、「なんで飲まないの?」って聞いたら「全部、良いワインじゃないです」って言うんですよ。そういうのがわかると、「あ、カッコいいな」と思いますよね。一つ得意なジャンルを作るのもいいかもしれない。
 ちなみに、僕の“良い店”の基準は、「サッポロの赤ラベル」が置いてあるかどうか。生ビールももちろん好きなんだけど、赤ラベルは苦くておいしい昔のビール。立ち飲み系やもつ焼き系の店で赤ラベルを置いているのは良いお店(笑)。店主のこだわりがあるというか、そういう店は料理もうまいですね。

撮影/橋本直貴 構成/大塩 大
スタイリング/佐藤美紀
衣装協力/override、永島服飾、パウロニア
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