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西田あい

愛され上手

1988年7月14日生まれ、鹿児島県出身。2010年歌謡曲歌手としてデビュー。美人演歌歌手として注目を浴びる。2016年10月19日第7弾シングル「最後の頁」リリース。BS日テレ「歌え!昭和のベストテン」毎週土曜21:00~、bayfm「The BAY☆LINE」毎週木曜16:00~、文化放送「西田あいのおしゃべりあいランドBAR」毎週土曜QR17:45~/HBC17:50~、毎週日曜SF18:00~/OBC17:00~

西田あい

愛され上手

「ありがとう2015年も愛されました」

2015.12.20

みなさんいかがお過ごしですか??
FILTでコラムを書かせていただき7回目になりました。
最初は毎月コラムを書くということで自分でもかなり不安に思っていたのですが、回を追うごとにみなさんからの反響も増えてきて、だんだん月に1回のコラムを書くことが楽しくなってきて、いつの間にかルーティンになってることに驚いています。
毎月、コラムを書く時期になると「今回はどんな内容をみなさんにお届けしようかなぁ」なんて何日も考えてたりするんです。

今回は年内最後のコラムという事で、2015年西田メモリアルと題し今年一番インパクトのあった出来事を振り返ってみたいと思います!

それはある夏の暑い日、突然訪れました。
朝、マネージャーさんの口から出たひとこと・・・

『山登りしませんか!?』

キョトンとする私にもうひとこと・・・

『富士山に登ろう!!』

お仕事の合間、電車で移動していた時でした。
私は思わず、立ち止まり、聞きました。

『え?富士山!?仕事!?プライベート!?』


話を聞いていくと…
急遽ぽっかり空きができた2日間のお休み。
その2日間で、富士山に登ろうということ。

デビューしてすぐの頃、屋久島にお仕事で行ったとき、いつか富士山に登りたいなんて、冗談半分で言ったこと、覚えてくれていたそうで…

とにもかくにも、今がタイミングだと思ったそうで…

だけども、明後日から!?そんな急に!?と悩んだのも30分…。
よし、お供します!というより行きたいです!行きましょう!

せっかくのお誘い、そしてこのタイミングで日本一の山に挑戦したい!
そんな思いになりました。

しかし言い出しっぺであるマネージャーさん、私がやる気になった途端…
やっぱり、怪我とか日焼けとかさせられないからやめましょう…
とネガティヴになったのです。
その時すでに、登る気マンマンだった私は…
『今しかないんですよね?登りたいと思ったんですよね?怪我と日焼けは万全の対策で気をつけるから、せっかくの機会・・行きましょう!!行くんです!!行きたい!!』
(なんで私が説得してる・・?)とアツくなる私。

コクリ。と頷くマネージャーさん。


・・決まりました!登ります!
ここからは、富士山登頂に向けて一直線です。

私の登山経験といえばお仕事での屋久島くらいで、プライベートでの登山なんてしたことないし、登山道具なんて持っていないので登山用具レンタルショップに駆け込み、万全を期して“何があっても大丈夫!プロがオススメ12点セット“のフル装備で富士山に向かいました!


ここで、ひとつ事件が!!!
富士山のハイシーズン真っ只中だったので、初心者向けのゆるやかなルートは山小屋が満員で空きがないというではないですか!!
登山初心者の私たちですが、ちょっと急勾配の富士宮口ルートで登ることになってしまいました。

でも、前向きすぎる私。
高い壁こそ、乗り越えられた時に、素晴らしい景色がある!
普通の人だったらここで気が引けてしまうところなんでしょうが、私は6月から始めていた筋トレのこともあり、なんだか自信があったんですよね~!!『行けるかも、私』って。


朝8時集合。新宿から、バスに乗って…。
まるでお仕事へ向かうかのようなスケジュール。ハードスケジュール。

そう思っているうちに、時は経ち…
気付いたら富士山5合目の登山口に立っていました。

ガイドさんから登山の心得を聞いて、いざ出発。

『無理はしないこと。ゆっくりでいいから、一歩一歩着実に踏みしめながら、進んでください。追い越されても焦らない。登れば登るほど空気は薄れます。深呼吸を忘れないで。』

ガイドさんから言われたことを気を付けながら最初はハイキング気分で、
鼻歌を歌いながら、すれ違う登山者に挨拶したり、写真を撮ったり、
それはそれは楽しい雰囲気だったんですよ。7合目手前までは…

標高が高くなるにつれ酸素が薄くなり、登山道は更に険しくなり、自然と無口になり、
気が付くと、自分の心と向き合う修行のような時間が訪れてきました。
私は、これまでの様々なことを思い出しました。

たそがれ西田の登場です。

『こういう山道って蛇とか出ないのかなぁ』と考えながら、
今年6月にテレビのバラエティ番組で共演した大蛇の事を思い出していました。
この大蛇との撮影、私は番組から用意いただいていたドレスやチャイナ服で挑んだわけですが、2メートルを超えるこの大蛇を肩に乗せた瞬間ずっしりとした重みと生温かさが・・これが大蛇の迫力かと思いました!
様々なポーズで撮影していて大蛇と長い時間を共にしていたら、どうも私という人間に馴れてくれたらしく、つぶらな瞳で私を見てくるではありませんか!!!

”やだっ、私、愛され上手すぎて大蛇に愛されちゃったかも・・!!?”

な~んて事を思い出していると、目の前には疲労困ぱいのマネージャーさんの目があり・・それを見て一瞬無心に戻ったのですが・・・・・
また少し登山を進めていると、今度はお腹がすいてくるんです。


カレーやあったかい豚汁など食べ物のことを考えていると、思い出してしまったんですよね『ゲテモノ食べたなぁ・・・』と。

たそがれ西田です。

今年は、歌番組のロケで美味しい串あげを食べたんですが、ササミだと思って食べていたのがカエルだったり、ちょっと独特な匂いだけどイノシシかな?と思っていたのがカンガルーだったり、これまた独特の歯ごたえで大物の感じがするな~と思っていたのがワニだったんですよ。
私、すごいもの食べてたなぁと思うと、日々美味しいご飯を食べられている事に感謝して生きなきゃいけないなぁと改めて感じていました!


そんな感じで、5合目を出発してから5時間半程が経ち山小屋のある9合目に辿り着いて、食事と仮眠をやっととることが出来たのでした。


山小屋ではちょっとした出会いもあったんですよ!
1つ800円のビールを飲むか飲まないか迷っているマネージャーさんに、たまたまテーブルで向かい合ったイケメン風の男性二人がそれぞれ飲みかけのビールを“よかったらどうぞ”と差し出してくれるではないですか!!(2つともマネージャーさんに差し出されました。)
これは、富士山マジックで恋に発展しちゃうかも!?というくらい話が弾む3人をしり目に、私は山小屋のおいしいおいしい普通のカレーに夢中。
気圧の問題で酔いがまわったのか、イケメン二人組との会話に酔ったのか、どっちに酔ったか定かではないのですが、ほろ酔い気分のゴキゲンなマネージャーさんはパッと寝ついていましたが、山小屋の仮眠スペースの窮屈さはすごく、私はなかなか寝付くことが出来ず、しばらくマネージャーさんの幸せそうな寝顔を眺めるのでした。



4時間の仮眠を終え、夜中の2時半に山頂に向け歩き出したのですが、あたりは真っ暗。ヘッドライトだけが頼りだったのですが、全ての登山口から一気にみんなで山頂の御来光を目指すので、暗闇でひしめき合うヘッドライトの光がすごい光景でした!!

そう!それはまるで!コンサートの時に会場で光るペンライトの様で、山頂に向かう間コンサートの事を思い出していました。
”やっぱり私はみなさんに支えていただいてるな。
人のつながりって凄いな。”

もっともっと活躍して、大きなステージに立って、応援してくれている人に恩返しがしたい
そんな風に思っていた、その時、鳥居が見えたんです!
頂上だ!あともう少しだ!頑張ろう!深呼吸して!一歩ずつ一歩ずつ!

鳥居をくぐりました!
そして、ガイドさんが言いました!
「あともう少しですよ…!」



「え・・・? あともう少し・・・? この鳥居は…?」
ガイドさんの話を聞いていると…


頂上から更に奥へ進んだところに、剣ヶ峰という富士山頂の中でも一番高い所があり、御来光を見るには最高のスポットだというじゃありませんか!

但し、ここから先は更に険しくなるので、希望者だけというではありませんか!!

そんなこと言われたら、行きたくなるのが西田あい!
高い壁こそ、乗り越えられた時に、素晴らしい景色がある!

最後の力をふりしぼって、登ります。


そして・・・登頂。
頂上の更にてっぺん。日本で一番高いところ。
言葉になりません。目の前に広がる景色。あたり一面の雲海。


登頂の感動も冷めやらぬまま、その雲海がオレンジ色に徐々に染められていき…
御来光を拝みました。


いつも陰ながら応援してくれている家族へ手紙を書いたり、山頂を目指しながら目標にしていた“「涙割り」ヒット祈願とみんなの健康”を祈念し、山頂でのつかの間の癒しの時間を過ごしたのでした。


山頂まで登って思ったこと。
夢や目標に向かって、一歩ずつ着実に踏みしめながら進んでいく。
登っていくなかで、見える美しい景色。辛い思いをしてこそ見える景色。
登りきったと思ったら、また更に登るべき道がある。そして、登ったあとは下る。
そして、そこには支え合う仲間がいて…

「まるで人生のようだ」



たそがれ西田です。




ここからは、下山のお話。ガイドさんとお別れをしてマネージャーさんと二人きりだったのですが、相当疲れが溜まっていたので会話も少なく、一歩一歩、己との戦いでした!
とにかく気力だけで下山をしていたので
二人とも限界が近いのはうすうす感付いていたところに・・・・・


私たちの100メートル先を歩く、山小屋でビールをくれた男性二人を発見!!!!

なんだか、急に知ってる人がいると心強くなり、早く彼らに追いつきたかったのですが、歩けど歩けど一向に距離は縮まらず・・



ここで、ひとこと。
『山での出会い、運命を感じたけれど、世の中そんなに甘くない!』


淡い恋心は富士山の湧水に溶けて消え・・・美しいせせらぎになりました。

“富士の清流・・涙割り”

おあとが宜しいようで、西田あい。


P.S.
とにもかくにも、たくさんのご縁にあふれた一年。
お世話になった皆さん、FILTをご覧の皆さん!
ありがとうございました。

2016年も、かけがえのない日々に感謝をして『一歩ずつ一歩ずつ』
皆さんにとってたくさんの”あい”に溢れる年になりますように。