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錦鯉

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撮影/若木信吾

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 いまやテレビで見ない日はない錦鯉の2人。漫才師の日本一を決める『M-1グランプリ2021』で優勝してからここまで、ずっと“まさか”の連続だという。
渡辺隆 M-1チャンピオンになった翌年の2022年は、人生の忙しさの全てが集中した年でした。その前の年から、そこそこお仕事をいただいたりしていたんですけど、体感で4倍は増えたイメージです。本当にガラッと変わりました。「転生したらM-1チャンピオンだった件」っていうライトノベルの主人公になった気分です。
長谷川雅紀 ついこの間も『オールスター感謝祭』に出させていただいたんですけど、バラエティではあまり会う機会のない俳優さんが目の前にいっぱいいたんですよ。信じられないというか、不思議な感覚というか。僕と福山雅治さんが同じ画面に映っているなんて、少し前まではまったく想像できませんでした。まさかまさか、ですよね。
渡辺 雅紀さんとコンビを組んだのは2012年なんですけど、芸人人生を延命するために組んだところがあるんです。芸人をやっているだけで楽しかったので、将来こうなりたいとか、こうなるだろうみたいのは、一切考えてなかったと思います。

錦鯉

 2022年は、自分たちの半生がドラマ化され、情報番組の『ZIP!』内で放送された。
長谷川 これこそ、まさかだよね。本当にドラマになるとは。
渡辺 でも、こういうのって、亡くなった方の人生をドラマ化するじゃないですか。あ、生きているうちにやるんだ、みたいな。
長谷川 驚いちゃったよね。ドラマの最終回を『ZIP!』のスタジオで観させてもらったんだけど、とても感動しました。放送が終わってから、こみ上げてきちゃって、カメラの回っていないところで泣きましたから。
渡辺 なんでだよ。カメラの回っているところで泣けよ。
長谷川 わはははは。タイミングがちょっとつかめなくて。
渡辺 今まで一度もタイミングがつかめたことないからね。ドラマは僕らよりも周りの人たちが喜んでくれたのがうれしかった。あと、あのドラマ以来、僕の母親役を演じたヒコロヒーのことを「お母さん」と呼んでいます。

 “まさか”を体現してきた2人だが、この先にさらなる“まさか”はあるのだろうか。
渡辺 あまり先のことを考えるタイプではないんですけど、芸人になったからには、“まさかのスキャンダル”は一回くらい経験してみてもいいですけどね。
長谷川 なんか僕、騙される系の被害に遭いそう。
渡辺 美人局とか、詐欺とか。
長谷川 そう。性格的に自分から悪事に手を染めることはない気がするんだけど、騙されて巻き込まれることはありそう。5年後くらいに。
渡辺 雅紀さんには大金を失ってほしいな。あのさ、なにか良い方向の“まさか”はないの?
長谷川 ドラマ化に続いて、ゲーム化かな。錦鯉を育てていくゲーム。たまごっちみたいに成長させていくやつ。
渡辺 最後は雅紀さんに育つんでしょ? つまんなすぎて叩かれるよ。
長谷川 わはははは。いいじゃない、令和の時代のクソゲー! あとは、SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の仲間と番組なり、全国ツアーなりができたらいいなとは思いますね。

錦鯉

渡辺 まず我々の全国ツアーがあるからね。6月4日から「錦鯉独演会ツアー2023」として全国を回るんです。
長谷川 2年前に一度、錦鯉の単独ライブをやらせてもらって、本当は次の年もやる予定だったんだけど、忙しすぎて結局できなかったんです。で、今年はいよいよやるぞということになって、どうせやるんだったらツアーで、ということになりました。
渡辺 全国を回りたいということは前から言っていて、今回はその希望が叶った形です。雅紀さん、独演会ツアーのPRしてよ。
長谷川 初の全国ツアーでみんなに会えるので、生の長谷川雅紀と渡辺隆を、生のあなた、会いましょう。
渡辺 どんどん日本語が下手になっていくね。
長谷川 あはははは。ぜひ会いに来てほしいです。そして生の「こ~んに~ちは~」を聞いてほしい。
渡辺 我々の本職は何かと聞かれたら、それは漫才なので、全国のみなさんにぜひ生で見てもらいたいですね。

錦鯉 お笑いコンビ。1971年生まれ、北海道出身の長谷川雅紀(左)と、1978年生まれ、東京都出身の渡辺隆(右)により、2012年に結成。『M-1グランプリ2021』でチャンピオンに輝く。6月4日からは、東京・全電通労働会館を皮切りに、札幌・岡山・福岡・大阪の5都市6公演で上演される「錦鯉独演会ツアー2023」を開催。

撮影/若木信吾