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三池崇史×宮藤官九郎

三池崇史×宮藤官九郎

撮影/Jan Buus

三池崇史×宮藤官九郎

三池崇史×宮藤官九郎

 監督・三池崇史、脚本・宮藤官九郎のタッグで人気コミックを実写化した映画シリーズがついに完結。稀代のヒットメーカーであり、共同作業者でもある2人が11月19日公開の映画『土竜の唄 FINAL』への思いを語る。
三池 今回はコロナ禍でどうやって完成までこぎつけるかという作業だったので、ひとまず撮れてホッとしています。逆にこの状況だったからできたこともあるし、決してマイナス面だけではなかったと思う。むしろマイナスをプラスに換えていくのが僕らの仕事だから。
宮藤 確かにそうですね。三池さんはいつも置かれた状況でベストを尽くしているし、フットワークも軽いから、対応力が半端じゃないんですよ。今回もまったく動じていなかったのはさすがだなと。
三池 状況が悪いからといって後ろ向きになってもしょうがないから。

三池崇史×宮藤官九郎
三池崇史×宮藤官九郎

 映画の山場は豪華客船での死闘。潜入捜査官の菊川玲二を演じる生田斗真が体当たりのアクションに挑む。
宮藤 去年の5月には「絶対に豪華客船のシーンは無理だ!」と、まず思いましたからね。でも、完成した映画にはちゃんと豪華客船でのバトルもある。「この状況でよく撮ったな~」というのが正直な感想です。あそこを変更しないのは、やっぱり三池さんだから、としか言いようがない。それにですね、滝沢カレンさんならともかく、生田くんと皆川猿時くんのキスシーンは絶対にいらない(笑)。台本通りやってくれて、うれしくなりました。
三池 すごいよね。まさに不要不急のシーンだから(笑)。
宮藤 ただ、あれがあるから土竜ともいえますよね。
三池 別に意地を張ったとかではなくて、「これがないと面白くないよね」と思ったものは自然と入れていくから。
 これまでと状況が一変したコロナ禍では“わからない”ことだらけ。映画もしかりだ。
三池 この状況で本当に撮り終えることができるの? どんな対策をすれば感染者が出ないの? みんなに面白いと思ってもらえるの? それは誰にもわからないし、わからないと言うしかない。でも、わからないことがはっきりすると、答えも出しやすくなるんだよね。「これはできる」「これはできない」が明確になるから、ある意味では動きやすかった。予算の範囲なら何でもやっていいですよというのは、逆に不自由。あとはコロナ禍でお客さんもフラストレーションが溜まっていただろうし、そのエネルギーがスクリーンに向かってくれるといいけどね。
宮藤 いつも通りじゃなかった期間が長かった分、すごく意識的に観てくれると思います。

三池崇史×宮藤官九郎

三池 今回はシリーズの最後なので、ちゃんと“ファイナル”しているし、「観ないと損する」とは言えるかな。
宮藤 僕は1作目のときから続編があることを知らなかったので、本当は最初から“ファイナル”していたんですよ。ただ、1作目の映画を観たら、最後のほうに次の予告が入っていて、「あれ? 次もやるんだ」って(笑)。だから、今回が完結編というのが信じられなくて。これまでそこで終わりのつもりで書いていたのに、終わらなかったから。今度は、「え、本当に終わるの!?」みたいな。
三池 ただね、終わるって言っておいて、終わらないかもしれない。いくらでもやる方法はあるから。
宮藤 あはははは。ファイナルなのに次があるかもしれない。
三池 それも、わからないよね。

『土竜の唄 FINAL』
2021年11月19日(金)全国公開
監督・三池崇史、脚本・宮藤官九郎、主演・生田斗真の人気シリーズ完結編。最凶ヤクザのトップ・轟周宝(岩城滉一)を挙げるため、潜入捜査官の"モグラ"として組織に潜る菊川玲二(生田)の次なる任務は、6000億円もの麻薬密輸阻止。そんな玲二の前に現れたのは、周宝の息子・烈雄(鈴木亮平)。パピヨンこと日浦匡也(堤真一)や恋人の若木純奈(仲里依紗)も入り混じり、超豪華客船を舞台に最後の大捕物が繰り広げられる。
(C)2021「土竜の唄」製作委員会 (C)高橋のぼる・小学館
(配給:東宝)
https://mogura-final.jp/

三池崇史 みいけたかし 映画監督。1960年生まれ、大阪府八尾市出身。多くのVシネマの監督を務める。1995年に『新宿黒社会』で劇場映画監督デビュー。主な監督作品に『十三人の刺客』『クローズZERO』『悪の教典』『無限の住人』『ラプラスの魔女』『初恋』『妖怪大戦争』など。最新監督作の『土竜の唄 FINAL』が2021年11月19日公開。

宮藤官九郎 くどうかんくろう 脚本家。1970年生まれ、宮城県出身。1991年より大人計画に参加。代表作に映画『GO』『ピンポン』『土竜の唄』シリーズ、ドラマ『木更津キャッツアイ』『あまちゃん』『いだてん~東京オリムピック噺~』など。2023年にはNetflixにて『離婚しようよ』(大石静との共同脚本)が全世界独占配信。映画監督や俳優としても活躍中。

撮影/Jan Buus

スタイリング(三池)/前田勇弥 スタイリング(宮藤)/チヨ(コラソン)
衣装協力(三池)/ジャケット¥257,400、シャツ¥55,000、パンツ¥74,800、ブーツ¥138,600(すべてYOHJI YAMAMOTO)、その他スタイリスト私物