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136AUG-SEP 2025.7.20
ギラギラを忘れない。
俳優・江口洋介

 穏やかな人柄の中に、確かな使命感が息づいていた。8月1日公開の劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』で江口洋介が演じた医師の牧志秀実は、救命救急医療チーム南海MERのチーフドクター候補として、重い過去を背負いながらも、島民を救うために噴煙が巻き上がる火山の島へと赴く。

「牧志は医師として人を救う以前に、急病人が出ず、災害も発生しないことを望む、何よりも平和が一番という男なんです。一見、事なかれ主義の頼りなさそうな医師に思えますけど、そこにはちゃんとバックボーンがある。僕は過去の出来事に苦しみ続けた年月が牧志をそうさせたんだなと思いながら演じました。もちろん、島民たちを助けたいという思いは人一倍強くて、だからこそ自分の弱さを乗り越えていくんです」

 そのきっかけとなるのは、鈴木亮平演じるTOKYO MERのチーフドクター喜多見幸太だった。

「実績が作れず廃止寸前の南海MERに喜多見チーフというスーパードクターがやってきて、共に活動する中で牧志にも何か感じるものがあり、それが行動に結びついていく。いわば牧志の再生の物語でもあるのかなと」

 シリーズを通して鈴木が主演を務める『TOKYO MER~走る緊急救命室~』は、2021年にTBSの日曜劇場枠で放送され、本作が劇場版の第2弾となる。

「連続ドラマも劇場版の第1作目も拝見しましたけど、すごく緻密に作られている作品ですよね。大作エンターテイメントの作り方というか、どこに盛り上がりを持ってきて、どこでテーマを伝えるのか、考え尽くされている感じがしました。逆に言えば緻密だからこそ、喜多見チーフの人間臭くて、人情味のある部分が際立ってくる。それも大切な要素なのかなと思います。演じている鈴木くんは、このシリーズに並々ならぬ思いがあるようで、撮影初日から火山や溶岩の動画をYouTubeでたくさん見せられました(笑)。彼は体を大きくしたり、筋肉を付けたりと、役を外面から作る印象があったんですけど、リアリティを重視する人でもあるんだなと。僕もどちらかと言えば、そういうタイプなので、シンパシーを感じました」

 撮影では、鈴木と菜々緒のTOKYO MERチームが現場をけん引。シリーズ初出演となる江口を筆頭に、高杉真宙、生見愛瑠、宮澤エマら南海MERチームは、その熱量に圧倒される。

「僕たちはこのシリーズの中では新人じゃないですか。例えば狭い船上のシーンなどは、慣れている鈴木くんと菜々緒ちゃんが芝居の段取りを監督に確認しながら進めていきました。TOKYO MERチームは、連続ドラマも経験しているし、劇場版もヒットしているから、自信を持って動けるのが大きな強みだと思います。それに、2人とも“MER愛”がすごい。すごいんですけど、あまり「うちの子かわいいでしょ?」みたいに言われると、ちょっと引いちゃうみたいなことってありますよね(笑)。でも、撮影が進むにしたがって、気がついたら僕ら南海MERメンバーにも“MER愛”が芽生えていました」

 これまで数々の映像作品に出演し、俳優として情熱を注いできたが、その原動力はどこにあるのだろう。

「僕らの仕事って、本当に最後の数%に乗っかるだけなんです。監督やスタッフが企画の段階から頭を絞って、七転八倒しながら準備を重ねて、撮影までこぎつけてくれる。今回の映画もそうですが、そこに思いっきり乗っかるだけ。それでも、その撮影がうまくいかなかったら、みんなの苦労が水の泡ですから。役者としてベストは尽くしますけど、演技に正解なんてないから、もしかしたら僕が台無しにしてしまうかもしれない。その怖さの中でも、観てくれる人たちに非日常を届けなきゃいけないという思いがある。使命感というほど大げさなものではないですけど、そういった気持ちみたいなものは、昔からずっと僕の力になっていますね」

 情熱を失いかけている人にアドバイスをするとしたら、どんな言葉を送るのか聞いてみた。

「別のエネルギー源を見つけるといいと思うんです。僕の場合は音楽とか、昔の映画とか。まだこんな熱い気持ちになれるんだと、再認識できる。心を震わせるものに触れると、必ず情熱となって自分に返ってきますから。僕は今も、あえてそういうものを探すようにしています」

劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』2025年8月1日(金)全国公開
人気救命救急医療ドラマの劇場版第2弾。沖縄県と鹿児島県の諸島地域で、オペ室搭載の特殊車両=NK1を乗せたフェリーで島々を巡る南海MERの試験運用が始まる。TOKYO MERチーフドクターの喜多見(鈴木亮平)と看護師の夏梅(菜々緒)は指導スタッフとして南海MERに赴任。そんな中、鹿児島県の諏訪之瀬島で大規模な噴火が発生。喜多見は南海MERチーフドクター候補の牧志(江口洋介)らと共に、島民の命を救うため、決死のミッションに挑む。
https://tokyomer-movie.jp/
(C)2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会
江口洋介 えぐちようすけ 俳優。1968年生まれ、東京都出身。1987年にデビューして以来、数多くのドラマや映画に出演。現在は7月8日より放送がスタートしたテレビ朝日系連続ドラマ「誘拐の日」に出演。また、ミュージシャンとしても活動しており、最新アルバムの「RIDE ON!」が発売中。8月1日公開の劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』に出演。その他の公開待機作に、9月26日公開の出演映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』がある。

撮影/Jan Buus
スタイリング/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/中嶋竜司(HAPP'S.) 撮影協力(天板)/UTUWA