FILT

小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!

音楽その22・前編

2016.12.20

ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞して、なにかと話題になっています。
このコラムを書いている時点では、賞そのものは受け取るけど受賞式には行かないということになっていますが、この後どう変わるかまだ分かりません。
一番面白かったのは、受賞したにも関わらず連絡がつかないという最初の時期でしたね。
なかなかいないでしょ、ノーベル賞くれるって言ってるのに、その連絡の電話にも出ない人って。

話題は変わって、日本で行われた「The Classic Rock Awards」に出演予定だったジミー・ペイジが演奏をしなかったというのも話題になりました。
演奏はしなかったけど出演はしたということで、法的にどう判断されるかは分かりませんが、最初から演奏しないつもりなら<演奏はありません>と、明確に文言を書いていたはずですから、ペイジの気まぐれなのか、あるいは日本側の主催者の不手際なのか、いずれにしても一般的なビジネスの世界ではなかなか無いことじゃないでしょうか。

賞をあげると言ってるのに、何度連絡しても電話に出ない。
演奏すると思わせておいて、ギリギリで演奏をしない。

往年のミュージシャンというのは本当に気まぐれです。

でも、昔の音楽界(特に海外)だったら、こういうことってほんとに日常茶飯事だったと思うんですよ。ギリギリでやらないとか、開演時間が大幅に遅れるとか、ライブ途中で帰っちゃうとか。
なんでですかね、音楽および芸能に限ってだけはそういうことが許されるという風潮が昔からあった。

日本でも、ビートたけしさんがテレビの収録現場に「家で幽霊が出たから」と言い訳して来なかったとか、古今亭志ん生さんが高座で寝てしまい、起こそうとした人に対して客が「寝かせといてやれ!」と言ったというのも有名ですが、とにかく大らかというか、まあわがままな世界です。

そういう風潮が最近はすっかりなくなって、ミュージシャンも普通のサラリーマンのように常識的で時間もしっかり守り、礼儀も正しいというのが一般的になってきたところに、ディランさんとペイジさんが一石を投じた形となりました。

ちょっと面白いので、この話は次回に続きましょう。

(注)
ジミー・ペイジについてはジミーサイドの問題か、主催者側の問題かまだ分かってないので、詳細は不明です。

backnumber

CONTENTS