今、また吉本ばななをみんなが求めている。
4月に公開された「白河夜船」に続き「海のふた」(2003年から2004年まで新聞に連載)が映画化された。時代は今、吉本ばななを求めているのではないだろうか?
「うーん、子どもの頃から読んでいた世代が、大人になって現場で決定権を握ったせいではないでしょうか?」
そんな風にあっさりとクールに返す彼女であるが、本人の思いはさておき、衝撃のデビュー作「キッチン」から日本文学の新潮流の作家として、1980年代から現在まで第一線で書き続け、読まれ続けてきた。多くのファンを持つフロントランナーだからこその現象であると思う。
静かな故郷の海辺の町に帰ってきた主人公・まり。