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 バラエティ番組はもちろんのこと、ドラマやCMなどでもお馴染みの飯尾さん。ロケ芸人としても活躍中だが、やはり新型コロナウイルスの影響はまだまだあるようで……。
「街ブラロケで店に入るときはフェイスガードをしたり、店内よりも風通しの良い屋外で食べたり、いろいろと番組側が工夫してますね。外出自粛期間中はずっと家にいて、ほとんどリモートでの収録でした。いやぁ大変でしたよ。テレビ局から機材が送られてきて、自分で撮らないといけないから、『フジテレビさんでここをバックに使ったから、TBSさんはこっちにしよう』とか、家の中で場所を探さなきゃいけない。明るいからカーテンの後ろがいいだろうと思ったら、逆光で全部真っ暗になっちゃったり(笑)」
 昨年末には自身初となるエッセイ「どのみちぺっこり」も発売。執筆作業はもっぱら行きつけの喫茶店で、昔から相方のやすさんと通っていたという。
「大井町のギグレットっていう店で、若手の頃からやすと二人でネタを書いてましたね。当時はロバートの秋山(竜次)が近所に住んでいて、秋山もそこでネタを書いてたから、ときどき会うんですよ。異様な雰囲気の人間が入ってきたなと思ったら秋山だったり(笑)。マスターもすごく良い人で、ネタ作りが息詰まると意見をもらったりしてましたね。ネタ番組の後、店に行くと『オチ変えたんですね』って。ちゃんと観てくれてるんですよ」
 今や見ない日はないほどの人気者だが、不遇の時代も長かった。
「20代は暇で床ずれするぐらい寝てました。相方も含め大勢の芸人で共同生活をしてたんですけど、ひどい時は午後3時くらいから“いいちこ”を開けてましたからね。3時って言ったら、勤め人の皆さんはそろそろ今日の仕事の山場に入っている時間帯ですよ。なのに僕らは酒飲みながら、自分たちが成長しないからパワプロで強い選手を作って満足しちゃって」
 売れなくても飯尾さんが芸人を辞めなかったのは、周りの人の影響が大きかったという。
「関根勤さんやキャイ~ンが、会う度に『いや~飯尾は面白いな』って言ってくれるんです。こんな第一線でやっている人たちが面白いって言っているんだから『大丈夫なんだろうな』って。毎回、痛み止めを打ってもらっている感じですね。肩肘ボロボロなのに(笑)」
「僕の場合、キャイ~ンもそうだし、同期はナインティナインとかくりぃむしちゅーとかネプチューンとか。みんな実力があるから、自分の番組を持ったときに呼んでくれるんですよ。だから、周りが出世しているだけで、僕はそこに相乗りさせてもらっている感覚なんです」
 未来が見えない中、飯尾さんは自然体でいることや力を抜くことの大切さを教えてくれる。
「いや、単純に未来設計ができないだけなんです。未来設計をちゃんとできる人が午後3時から“いいちこ”は開けないと思うんですよ。とにかく舞台に上がったら、目の前のお客さんを笑わせるだけ。なんて言ってますけど、スベりたくないだけなんですよ。明石家さんまさんも言ってましたけど、笑うと免疫力が上がるそうなんです。だから、これからもスベるよりは笑わせたいし、笑っていたいですよね」
飯尾和樹 いいおかずき 1968年生まれ、東京都出身。2000年にやすとお笑いコンビ・ずんを結成。数々のバラエティへの出演の他、俳優として2020年7月期のドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)などにも出演。エッセイ「どのみちぺっこり」が発売中。
ヘアメイク/大の木ひで(Hidden) スタイリング/大谷 光(アンラックス)
衣装協力/ジャケット・ジョンブル 表参道(03-3797-3287)、カットソー・ウエアハウス(03-5457-7899)、パンツ・ユニバーサルオーバーオール(03-6447-2470)、靴・スピングルムーヴ(0847-41-5609)
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