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小宮山雄飛

 今回は月に1回、自身がパーソナリティを担当するコミュニティFM「渋谷のラジオ」とのコラボレーション。公開インタビューという形で番組が放送されたこの日の前日、5年ぶりのニューアルバムが完成した。
「5年ぶりで、しかもポニーキャニオンにメジャー復帰するという、いろいろな人のいろいろな想いがあるアルバム。それにフィットする、本当にいいものができました。“今、僕らはこういうモードなんだよね”というようなものではなく、この2~3年の集大成です。渡辺くん(ワタナベイビー)は、いいアルバムを作る事よりも「自分自身を認めてほしい!」という承認欲求が特に強い人だけど、それは時にダメな自分も受け入れて欲しいということに繋がるわけです。でも、今回は渡辺くんと最初に“本当にいいものを届けよう”という話をしました」
 完全な新曲から、シングル曲、ライブで披露していた曲も含め、厳選して収録したため、もう次回作が作りたいほどの曲のストックがあるのだそう。

 このアルバム制作でのヴォーカル録音のために、大好きなお酒もほぼ禁酒。
「やはりお酒を止めると声の質が全然違う。そうしたら、5kgくらい痩せました。普段は家で毎日、ビール2本、ワイン2本、またビール2本がワンセット。それを止めるだけで相当摂取カロリーが減りますよね(笑)。しかも、気分的にヘルシーモードになるから、食べるものはほとんど野菜。今朝も朝食はキャベツと大根とコーヒーだけ! せっかくだから健康的な生活を送りたいと、早寝早起きになりました」
 そしてアルバムの完成と同時に禁酒も解禁!
「家に帰って、1人で打ち上げをしました。ここ数日、2時間くらいしか寝ていなかったので気を抜くと寝てしまうんです。でも、これは自分へのご褒美として飲まなくては! と。お酒を飲んで寝そうになると『いかんいかん! 寝るな!』と頬をたたいて、また飲む。でも飲むとまた眠くなるから、度数40度くらいの濃いお酒の匂いをかいで、また飲んで。遭難した南極探検隊みたいに『寝たら死ぬぞ!』くらいの勢いで! そこまでしてお酒を飲んで、 最後は倒れるように寝ていました(笑)」

 今回コラボレーションした「渋谷のラジオ」では、月に1回、パーソナリティとして、Podcastの番組『こむぞう』を生放送&配信している。
「『こむぞう』自体はもう始まって12年になりますね。小宮山の“こ”、UMUの“む”、慶三の“ぞう”、3人でパーソナリティを担当する番組で『こむぞう』。週1回収録して、配信は毎日。毎回、グダグダな展開ですけれど、本当におもしろいから、ネタは尽きない。女子高生って、毎日部活帰りにずーっと話していたりするでしょう? そんな感じで、この3人はとても仲がよくて、居酒屋に行っても、いまだにおもしろいですから」

「それに比べて、渡辺くんはいまだに音楽以外はつまらないからね。打合せで2人で会っても、死人みたいにだまっているときがある(笑)。『あの、何か音や、声を発しませんか?』と心配したりするときすらあるから(笑)」
 自身はテレビやラジオ、連載、歌詞などのネタは日常の中から探す。
「僕の場合は、常にネタを探していないと追いつかないですから。常に何かを見て、感じるようにしていますね。iPhoneのメモにも、写真にも、記録しています。それを“グルメ”、“ディズニー”、“カレー”、“連載”……など、さまざまにカテゴライズしています」

 そんなホフディランは、デビュー前からラジオの仕事で活躍していた。
「地方のFM局でゲストコーナーを持ったのが最初。その後は、BayFM、ニッポン放送、J-WAVEなどで冠番組を持ちました。当時は渡辺くんも世間とリンクした雑談もできるトーク力があり、僕と互角に、同じくらいの発言数でやっていました(笑)」
 当時から、饒舌にラジオをこなしていたのだろうか?
「緊張はせずに話せていました。というのも昔から洋楽ばかり聴いていたので、あまりラジオを聴いたことがなかったんです。だって『Blur・デーモンのオールナイトニッポン』とか『マイケル・ジャクソンのラジオビバリー昼ズ』とか、無いでしょう(笑)?」

 ラジオの中でも印象深いのが『オールナイトニッポン』。
「デビュー直後、1997年に1クール(3ヵ月)担当しました。当時、ラジオ好きの友人にとても羨ましがられましたね。『タモリさんやビートたけしさんが座った伝説のブースに、どうしてお前が座れるんだ!』って(笑)。でも、最初はこのラジオの話を断ったんですよ。ポニーキャニオンの担当の方はメディア露出の仕事をいろいろと持ってきてくれるのですが、当時、ミュージシャンは音楽をきちんと作っていなくてはという思いがあったし、関係者が浮かれてしまうのが怖くて。特に渡辺くんは浮かれそうでしょう(笑)? 今だったら絶対に断らないですけど(笑)」
 期待とプレッシャーに囲まれ、始まったラジオ番組だった。

小宮山雄飛 こみやまゆうひ ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「Rethink Lounge TORANOMON」のプロデュースなど幅広く活躍。NEWアルバム『帰ってきたホフディラン』が10月18日(水)にポニーキャニオンより発売。また、ニッポン放送『小宮山雄飛 RELAX TALK BAR』(毎週日曜20:40~21:00)でパーソナリティを担当。hoff.jp

 『オールナイトニッポン』ではどんなコーナーが?
「“ディランくん”という、『ビバリーヒルズ高校白書』のディラン・マッケイがどのくらいお金持ちかというのを考えて投稿する、大喜利的なコーナーがありましたね。『ディランがクルーザーで漂流したときの非常食はトリュフとフォアグラ』とか(笑)。ホフディランのファンというより、『オールナイトニッポン』ファンのハガキ職人がおもしろいハガキを送ってくれて。その人たちに認められるかをいつも考えていました」
 こうして磨かれたトーク力が、今のラジオの仕事を支えているのかもしれない。
「最近はTOKYO-FMの田中みな実さんとの番組でバラエティ番組の洗礼を受け、さらに鍛えられています(笑)」

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