引退を考えたのも、ちょうどその頃だ。実際に木村は女優業からいったん離れ、病院の受付やウェディングなどのアルバイトをした。
「2006年に『風のダドゥ』という映画をやらせてもらったんですが、2012年にこの作品の助監督さんと再び映画で再会したんです。その時、『正直、もっと変わってるかと思った。あまり成長してないね』と言われて。私には、その言葉がすごく重かった」
事務所を移り本気で取り組む決意をしたところだった。
数ヶ月先までスケジュールが埋まっている多忙な状態。気持ちも前向きだった。そこで言われたのが先のセリフだ。
「一生懸命やっているつもりでしたが、自分を守っていたのかな。自分でもどこかで『これじゃダメだ。まだ足りない』とはわかっていたんです」
悩んだ末に「やっぱり、揺さ振られなきゃダメだ」と思い至る。リハビリのように感情をオンにする練習を繰り返し、本来の自分ともいえる“生きにくい”生活に戻した。