本誌「FILT」のテーマを毎号担当するコピーライター・岡本欣也氏。多くの人の心を動かすコピーを書いてきた彼は、今、なぜこのテーマを出してきたのか。そこには生業とする日々の言葉との格闘があった。
「僕の思うきれいな言葉とは、硬い言葉ではなく、柔らかい言葉。だから漢字よりはひらがなだし、英語より、誰でもわかる日本語を使うよう心掛けています。それともうひとつは、長い文章ではなく短い文章。一回読んだら淀みなく意味が取れる文章が理想なんです。『言葉が、きれい』というと言葉遣いと思われるかも知れませんが、それだけではなく、読み手を思いやる文章のことだと考えています。SNSなどで交わされる『美しくない乱暴な言葉』を目の当たりにしていると、自分が日々目標とし、書こうとしている言葉との意識の違いというか、そういうものに愕然とすることもある。いずれにせよ言葉を紡いでいくことを、あまり反射的にやるべきではないと思います。」