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寿大 聡

寿大 聡

寿大 聡

撮影/野呂美帆

活躍中の俳優・寿大聡が、縁のあるゲストを

お招きして、熱く語らう連載の第五回。

 尊敬できる先輩やお世話になった方々と語り合う、「トーク侍」。第五回目は、NHKのラジオドラマディレクター・真銅健嗣さんの登場です。
寿大 お久しぶりです。お忙しいでしょうけど、たまにメッセージを送ったり、遊んでいただいたりしています。いつも本当に優しく、フランクに接していただいて…。
真銅 優しいかな~。調子いいだけだと思いますよ(笑)。
寿大 初めてご一緒させていただいたのは、2012年のラジオドラマ『蜩ノ記』ですよね。
真銅 そうですね。でも、寿大さんのことはその前から存じ上げていて、私のラジオドラマの先輩の作品に出たり、佐々木譲先生の舞台を見に行ったりしていて、すばらしい俳優さんだなと思っていました。『蜩ノ記』は、ご存知の通り、葉室麟さんの傑作小説で、江戸時代の羽根藩というところが舞台になるんですね。ドラマ化する際に、主人公としてその時代や場所に導いてくれるような人がよくて、あ、これは寿大さんだなと。

一声で、その時代の

その場所に、

連れて行ってくれた。

寿大 ありがとうございます。ラジオドラマは、真銅さんの先輩の作品で初めて経験したんですけど、難しくて…あのときは疲弊してしまいました(笑)。『蜩ノ記』もそうなんですけど、一週間の連続ドラマで、全10話を2日で撮るんですよね。さらに、普段、表情や身振り手振りで表現していることを声に乗せなければいけないので、とても大変でした。
真銅 確かに、ラジオドラマは美声や悪声ということ以上に、声の演技が重要になってくるものだから。でも寿大さんは一声で、あるいは一つの所作で、その時代のその場所に連れて行ってくれた。これはもう、マジックですよ。おかげさまで『蜩ノ記』はラジオドラマとして、とても良い作品になったと思います。
寿大 そう言っていただけるとうれしいです。ラジオドラマって、声だけで表現しなければならない一方で、無限の可能性がありますよね。
真銅 想像力で広がる世界ですからね。
寿大 ラジオドラマのファンも多いですよね。僕の周りでも『蜩ノ記』がよかったと、喜んでくださる方がたくさんいました。あと、真銅さんの演出が本当に丁寧で。何か提案があるときに「ご相談なんですけど」って言ってくれる。「ご相談なんですけど、ここはもうちょっとこうしませんか」みたいな。「こうしろ、ああしろ」と言うんじゃなくて、優しく聞いてくれましたよね。
真銅 寿大さんは台本も読み込んでいるし、全体を捉えているので、そんなに細々とした指示をしなくてもいいんです。安心して聞いていられる。それに、やっぱりのびのびと、気持ちよく演じていただきたいという思いはありますね。
寿大 本当、むちゃくちゃやりやすかったです。『蜩ノ記』のあとは真銅さんが大阪に行かれて。
真銅 私が2013年から3年間大阪勤務になって、そこでもラジオドラマを作っていたんですけど、有栖川有栖さんの『幻坂』という時代劇をやることになったときに、また寿大さんにお願いして。
寿大 9話と10話に参加させていただきました。
真銅 大変だけど来てもらうしかないな~と思って(笑)。そして、次が一転、SFでしたよね。

革のジャケットを着て

颯爽として

かっこよくて。

寿大 いやもう、すごい話でしたよ! 『スペースマシーン』という19世紀のイギリスと火星が舞台の作品で、火星人もたくさん出てきて。面白かったです(笑)。
真銅 そういった様々な作品を通じたお付き合いがあって、そこから、次第に飲みに行くようになったと思うんですよね。収録が終わったあとに「ちょっと行きますか」みたいな。
寿大 たまに、そこに父が来たりして(笑)。
真銅 そう! お父様とは、『蜩ノ記』の前からお付き合いがあって。寿大さんのマネジメントをやられていたんですよね?
寿大 僕が無名塾を出たときに、父が会社を辞めて鍼灸師の学校へ行っていて、それも一通り落ち着いたから僕の活動を手伝ってもらっていたんです。芸能界は初めてなので、お世話になっていた演出家の方に紹介していただき、NHKにも行っていて。実はラジオドラマの仕事が父の初めて取ってきた仕事なんですよ。だから、本当に真銅さんにはお世話になったな、と。
真銅 お父様は僕より年上なんですけど、革のジャケットを着ていて、颯爽としてかっこよくてね。どう見ても業界人とは思えない丁寧できちんとした物腰で「寿大聡という俳優をよろしくお願いします」とおっしゃるわけですよ。「どういうご関係ですか?」と聞くと「父親です」「え~!」みたいな(笑)。
寿大 ふふふ(笑)。今後は、こんな作品をやってみたいなどはありますか?
真銅 う~ん、特別ということはないんですけど、一本一本良いものにして、聞いてくださる人に届けられればいいなと思っているくらいですね。でも、寿大さんとはぜひまた何か作りたいですね。時代劇やSFも、もちろんなんですけど、ど真ん中のザッツドラマという感じの作品も。寿大さんもそういうものが似合う年齢になっていらっしゃるから。
寿大 ありがとうございます。ラジオドラマはメディアの原点でもあるし、みんな大好きですから、出たいと思っている俳優も多いんです。ぜひ、またご一緒させてください。

真銅健嗣 しんどうけんじ NHK制作局ドラマ番組部オーディオドラマディレクター。1988年にNHK入局し、1998年頃よりオーディオドラマを担当。2002年に演出を担当したFMシアター「ツユクサ」で第28回放送文化基金賞大賞受賞。2017年は、青春アドベンチャー「クリスマスの幽霊」などの演出を担当。

寿大 聡 じゅだいさとし 俳優。仲代達矢主宰の無名塾出身。2013年に三池崇史監督作品『地球兄弟』に出演。佐々木譲原作の出演作『連続ドラマW 沈黙法廷』のDVD-BOXが1月28日(日)に発売。また、フジテレビ1月期連続ドラマ『隣の家族は青く見える』(毎週木曜22時放送)にレギュラー出演。

撮影/野呂美帆

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