繊細で軽妙な筆致と、読者の想像を突き抜けるような叙述トリックで幅広い支持を集める作家・道尾秀介。最新作の『サーモン・キャッチャー』は劇作家、ミュージシャン、映画監督など多彩な活躍を見せるケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)との共同コンセプト作品だ。
「KERAさんとの出会いは、僕の間違いから始まったことなんです。昔、インターネットでニコルソン・ベイカーの『室温』という本を買おうとして、間違ってKERAさんの戯曲『室温~夜の音楽~』を購入してしまったんですよ。それまで失礼ながらKERAさんのお名前を知らなかったんですが、せっかくなので読んでみたら、台詞回しや場面展開が見たことのない、感じたことのないような“味”だったんですよね。そこからKERAさんの作品にどんどんハマっていって、舞台に通うようになりました」