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 映画製作プロジェクト『DIVOC-12(ディボック-トゥエルブ)』が10月1日に公開。三島有紀子監督が手掛けたその中の一遍『よろこびのうた Ode to Joy』で、藤原季節は歩という東北出身の青年を演じている。
藤原 撮影は2日間でしたけど、とても濃密な時間を過ごさせてもらいました。撮影に入る前から、この作品のことで頭がいっぱいになっていたので、撮影が終わったときは「明日からどう生きていこうか」くらいの寂しさがあったんです。
三島 とても集中して臨んでくださっていたのが伝わってきました。歩は、富司純子さんの演じる冬海という女性と出会うことにより、自分自身の抱えていた悲しみだったり、不安な気持ちだったりを全部浮き彫りにされてしまうんですが、みにくさも含めて自分の感情を全力でむき出しにしてくれるのは誰かと考えた時に浮かんだのが、藤原さんでした。
藤原 ありがとうございます。撮影に入る前、三島さんとお話したときに「歩と向き合ってほしい」とおっしゃられていて、その日から緊張感を持って生活していました。
三島 藤原さんは、普段の生活の中でも歩の衣裳を着たり、一人で宮城県の南三陸町に行ったりして、歩という人間になってくれました。撮影までの経験が、すべて歩に集約されていったんだなと。
藤原 僕はいつも自分がうさんくさい人間であるという思いが消えなくて、恥ずかしくて不安なんですよ。特に三島さんのような本当のことを見つめて生きようとしている人を前にすると。だから、今回みたいに歩の出身地である南三陸町まで行かないと、納得できなかったんです。
三島 だから藤原さんのこと、信用できるんでしょうね。自分でしっかりしていると思っている人は前に進めない気がしますから。
三島 それに、撮影現場に現れた藤原さんはもう歩にしか見えなかったし、誠心誠意準備をしてくれたんだなというのは感じました。最初にお会いしたときから、どんどん歩へと変わっていったという印象です。
藤原 僕は撮影の前と後で三島さんに対しての印象が違うんですよ。
三島 どういうこと?(笑)
藤原 僕、三島さんの『ぶどうのなみだ』が大好きなんですけど、最初にお会いしたときは、監督と作品が結びつかなかったんです。でも、一緒に撮影の日々を過ごす中で、三島さん自身がこれまで撮ってきた作品を体現しているというか、間違いなくあの作品たちを撮った人だと思えたというか。今回の『よろこびのうた Ode to Joy』も、三島さんだから描ける映画だと思ったんです。困難の先にあるよろこびを三島さんが与えようとしているのがすごく伝わってきました。
藤原 それは映画作りに対する姿勢もそうで、コロナによって多くのことが変わってしまって、新しい映画も作りづらい状況で、それでもその困難の中を突き進んでいくのって、とても覚悟がいることだと思うんです。厳しいことも言わなきゃいけない。でも、その先には絶対によろこびがある。僕は、三島さんたちクリエイターの方から与えてもらった厳しさや、その先のよろこびこそ、本当のやさしさだと捉えています。
三島 ありがとうございます。私は本当のやさしさって、本気で向き合う覚悟なのかなと思うんですよね。信じるってことにも近いかもしれない。馴れ合うことがやさしさでは全然なくて、時にぶつかることもあるかもしれない。でも、結果として良いお芝居が生まれれば、それがみんなのしあわせなんじゃないかって。藤原さんがおっしゃってくださるように、最後には「きっと大きなよろこびを共有できる」と信じてるんですよね。今回、藤原さんがこの作品を信じて役とそして私と本気で向き合ってくれた姿を見て、本当の意味でやさしさを共有し合える方だなと思ったんです。歩を生んでくださり、ほんとにありがとうございます。
『DIVOC-12』
2021年10月1日(金)全国公開
12人の映画監督が12の物語を紡ぐ映画製作プロジェクト。その中の一遍、三島有紀子監督最新作の『よろこびのうた Ode to Joy』は、ひとり細々と生きる75歳の冬海(富司純子)が、海辺で東北弁を話すやさしい青年・歩(藤原季節)と出会うところから幕を開ける。歩から高額な報酬の仕事を持ちかけられ、怪しいと理解しつつも先ゆく不安から引き受けることに決める冬海。お金と安心を得るため、二人はある場所へと車を走らせる。
(C)2021 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)
https://www.divoc-12.jp/
<三島監督チーム 予告編>
https://www.youtube.com/watch?v=0RowRYYGa0Y
<「よろこびのうた」ドキュメンタリー>
https://www.youtube.com/watch?v=HFj8QEj0kT4
藤原季節 ふじわらきせつ 1993年生まれ、北海道出身。近年の主な出演作に映画『止められるか、俺たちを』『his』『佐々木、イン、マイマイン』、ドラマ『監察医 朝顔』シリーズ等。2021年には『くれなずめ』『明日の食卓』『のさりの島』『空白』、NHK大河ドラマ『青天を衝け』等に出演。待機作に、舞台『ぽに』(2021年10月28日~11月7日KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ)等がある。

三島有紀子 みしまゆきこ 大阪府出身。2017年の『幼な子われらに生まれ』で、第41回モントリオール世界映画祭審査員特別賞、第42回報知映画賞監督賞、第41回山路ふみ子賞作品賞など多数を受賞。その他の代表作に『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『繕い裁つ人』『少女』『Red』などがある。最新監督作『よろこびのうた Ode to Joy』が『DIVOC-12(ディボック-トゥエルブ)』の1本として10月1日に公開。
ヘアメイク/須賀元子(藤原)、市橋由莉香(三島)
スタイリング/Shohei Kashima(W)(藤原)、谷崎 彩(三島)
衣装協力(藤原)/ジャケット¥14,800(used/Cake act2)、パンツ¥12,500(used/Noill) 衣装協力(三島)/トップ¥101,200、パンツ¥121,000、シューズ¥51,700(すべてISSEY MIYAKE)
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