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 映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』で、うさぎのバーナバスの声を担当した哀川翔さん。映画の吹き替えは今回が初となる。
「こういう世界的に愛される作品に参加できるのは、ありがたいよね。最初の吹き替えが“うさぎ”というのも面白いんじゃない?(笑)」
 バーナバスは、主人公であるピーターの亡くなった父親の親友で、人間に恨みを抱く動物たちを組織している。
「まぁ悪いヤツなんだよ。都会にやって来たピーターを悪の道に引き込むんだけど、でも、悪くなった理由も絶対にあるわけ。そういう部分も考えて演じることができたと思う。都会で生きていくって大変だし、守らなきゃいけない仲間もいる。悪いヤツなんだけど、それだけじゃない魅力を持ったキャラクターだよね。人間サイドの物語も描かれるけど、うさぎはうさぎで悩みや葛藤があるし、そこも見どころだと思う」
 前作に引き続きピーターの声を担当した千葉雄大さんとは初共演。宣伝活動を通じて親交を深めていった。
「千葉くんとは“遊び”の話で盛り上がったんだよ。俺と同じで彼も好奇心旺盛なんだけど、ほら今、仕事で忙しいでしょ。だから、バーナバスじゃないけど、いろんな遊びに千葉くんを“誘惑”したくなっちゃう(笑)。この前は『ヒラメを釣りたい』って言ってたから、コロナが収まって安心できる状況になったら、一緒に海釣りに行きたいよね」
 子供心を忘れず、仕事も遊びも全力投球。その姿は魅力的だ。
「みんな勘違いしてるんだけどさ、遊びって仕事と同じように、スケジュールを切って予定を立てて臨まないとできないから。休みになったら適当に遊ぼうなんて考えていると、一日中家にいて終わっちゃう。経験あるでしょ?(笑)仕事も遊びも、同じ比率で考えておかないとダメ」
 仕事ばかりで遊べていない大人たちに、遊びのプロフェッショナルはこんなアドバイスをくれた。
「子供の頃に好きだったものってあるでしょ。それをもう一度、子供に戻ってやってみるんだよ。そうすると趣味の世界って広がるから。子供の頃にプラモデルをよく作っていたんだったら、またプラモデルを買ってみてもいいし、釣りにハマっていたら、竿を買って近所の川に釣りをしに行ってもいい。大人になって止めていたことに改めてトライすることって、すごく刺激的だし、その世界にも入りやすいからさ」
 自身は、子供の頃から好きだった昆虫採集を今も続けている。
「カブトムシは昔からずっと好きなんだけどさ、子供の頃は幼虫を一回も羽化させることができなかったの。でも今は、良いマニュアル本がいっぱいあるから、その通りにやれば一発で孵らせることができるわけ」
「大人になると、やっぱり子供の時よりも高いレベルで趣味に向き合うことができるし、それを実現するためのノウハウや技術も持つことができる。つまり、それが“世界を広げる”ってことだと思うんだ」
 子供の頃の経験をアップデートさせながら、今に至る。
「趣味もそうだけどさ、結局、普遍的に愛されるものって、子供も大人も楽しめるものだと思うんだよね。そういう意味では『ピーターラビット』なんかは100年以上の歴史があるわけだから、まさに!って感じだよね。映画の話に戻ると、出来上がったものは、子供はもちろん、大人もお年寄りも、全員が楽しめるものになっていると思うし、それぞれ感情移入できるキャラクターが絶対いるだろうから、そういう見方をしてもらっても面白いんじゃないかな」
『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』
2021年公開
結婚したビアとマグレガーと“家族”として暮らすはずだったピーター(CV千葉雄大)は、父親気取りのマグレガーにうんざり。湖水地方を飛び出し、大都会へ家出してしまう。ピーターは、そこで父親の親友だったと語るバーナバス(CV哀川翔)と出会い、行動を共にするが……。
(配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
https://www.peterrabbit-movie.jp/
哀川 翔 あいかわしょう 1961年生まれ、鹿児島県出身。一世風靡セピアのメンバーとしてデビュー後、ドラマ『とんぼ』や映画『オルゴール』に出演し、その演技力を認められ、Vシネマデビュー。数多の出演作と、その存在感から「Vシネの帝王」と呼ばれる。映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』(2021年公開)では声優に初挑戦。
衣装協力/GARNIER
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