FILT

編集後記

山口智弘
FILT編集長。
最近、野良猫と
よく遭遇します。

ちょっと引きこもりたくなったら…。

2017.1.20

2017年最初のFILTです。

今回の特集は、窪塚洋介さん、道尾秀介さん、越前屋俵太さんにご登場いただきました。

窪塚さんの撮影は都内のスタジオで。動画は、白い壁に挟まれた窪塚さんが、自らの手でそれを押し広げるというイメージでした。撮影時、カメラマンに何度も確認しながら自らポーズのアイデアを出し、さらには進んでリテイクを申し出る窪塚さんの表情はとても真剣で、「ああ、常に本気の人なんだ」と思った次第です。

道尾さんの取材は光文社の会議室をお借りして。トークショーの前の貴重な時間をいただいての取材でした。年末のお忙しい時期にもかかわらず、取材を快諾してくださり、長い撮影にも嫌な顔ひとつせずに応じていただきました。

俵太さんには、京都から都内のスタジオにわざわざお越しいただきました。自らが持参したかぶり物をかぶっての撮影、ユニークな語り口のインタビュー。越前屋俵太として、当時となんら変わらないその姿に、とても感動しました。本当はもっといろいろなお話をしてもらったのですが、誌面の都合で全てをご紹介できないのが残念です。ちなみに、俵太さんのFacebookでは、取材時の様子が公開されています。

さて、そんなお三方にご登場いただいた今回のテーマは、「引きこもろう。」でした。

“引きこもる”という言葉は、基本的にはネガティブなイメージで使われます。でも、ときには自分と向き合ったり、自分を癒やしたりするための大事な時間でもある気がします。

厚生労働省によると、「家族以外の人とほとんど交流をせずに6ヵ月以上続けて自宅にいる状態」を引きこもりと定義するそうです。引きこもっている人は約32万世帯にいるとされていて、その要因は人によって様々なだけに、全ての解決は容易ではなさそうです。
その一方で、昨年は過労死や長時間労働の問題が目立った年でした。引きこもるどころか、むしろ家にも帰れないような長時間労働を強いられている人たちがクローズアップされました。

なんとも、バランスが悪いというか、うまくいかないものだなと、漠然と思ったものでした。

6~7年くらい前、私もまったく家に帰れない労働環境にいたことがありました。
そんなときによく利用していたのが新宿のカプセルホテルでした。

値段が安いというものあって、ビジネスホテルや漫画喫茶よりも、積極的にカプセルホテルを選んでいました。もちろん家に帰れないので仕方なく、でしたが。

限られた空間の中に、テレビや時計が機能的に詰まった未来的な感じが好きでした。自分を含めた大勢の人たちが蜂の巣みたいに詰め込まれている感じが好きでした。それでいて、簡易的なブラインドを閉めてしまうと、もう完全に一人になれる感じが好きでした。

カプセルホテルのあの狭さは、ビジネスホテルや漫画喫茶よりも、“一人ぼっち感”や“こもっている感”を感じられる気がします。窓もなく最低限のスペースしかないあの空間は、なんだか昔の実家の押入れを思い起こさせてくれました。勘違いかもしれませんが、一晩カプセルホテルで過ごすと、なんとなくリセットされた感じもしました。

長時間労働の末のカプセルホテル泊なんていうのは悲しすぎますが、もし、ちょっとだけ世間と遮断された空間で、プチ引きこもり体験をしたいときなどは、カプセルホテルもいいかもしれません。

連泊はおすすめしませんが。

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