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小宮山雄飛×能町みね子

小宮山雄飛×能町みね子

小宮山雄飛×能町みね子

撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子
取材協力/和食 木ノ下(南青山)

居酒屋を舞台に、ミュージシャン・小宮山雄飛が

ゲストとトークを繰り広げる、第四回。

仲良しのクリエイターとお酒を飲みながら縦横無尽に語りつくすほろ酔い対談。今回のお相手はエッセイストの能町みね子さん、後編です。

小宮山 芸能人の話じゃないけど(前編参照)、書く仕事以外にも活躍の場が広がったのは自然とそうなったんですか?
能町 そうですね。断らないと広がっていきますね。
小宮山 断らないと(笑)。
能町 テレビとか、申し訳ないくらい断ってるんですけどね。もともと「テレビに出たい」とかなかったんですよ。だから自分のなかに決まりを作っていて、基本的には夜11時以降の番組じゃないと出ない。相撲関連の番組は例外ですけど。
小宮山 お~、そう言われてみれば。
能町 それをしないと何かが崩れそうで。ワイドショーのコメンテーターとかのお話もいただくんですけど、即興で話すと浅いこと言っちゃいそうで嫌なんです。私が話す言葉より、書いたもののほうが内容的に上回ってると思うし。

小宮山雄飛×能町みね子

地方ラジオのギャラは

交通費くらいで

いいんですけどね……

小宮山 でも自分の興味の対象からあまりに遠い仕事って不思議と来なくないですか? 好きだって言ってると好きなものが来るけど。
能町 あ、それはありますね。青森が好きだって言ってたら、青森の町おこしの依頼がきましたから。どこかでこちらの動向を見てくれている人がいて、まぁ、それを分かってツイッターとかで言ってるとこあるんですけど。私、地方でラジオをやるのが憧れなんです。交通費出してもらって地方に行けるって最高じゃないですか。たまに勢いで、青森とか東北の方で誰かやらせてくれないかなぁ、とか書いてますけど、さすがにまだ来ないですね。
小宮山 あ~、それは来ないですよ。僕、神戸が好きだから、同じように散々書いてきたんですけど、まったく来ない(笑)。地方のラジオは予算がないんですよ。向こうからしたら、能町さんがわざわざ地方でやりたいだろうとも思ってないだろうし。
能町 ギャラなんか交通費くらいでいいんですけどね…と、ここでもアピールしておきます。

「今、興味があること」
能町 今日、お聞きしようと思ってたんですけど、作曲してみたいんですよ。最近は本のプロモも凝ってて、編集さんが新刊のPV作ろうって言い出したんです。そのとき変なノリで「私、曲作ります」って言っちゃって……。
小宮山 作れる、作れる。曲は誰でも作れますよ。あとはそれを世間に出せるかどうかの判断だけ。だって、魚を焼けって言われたら誰でもできるでしょ?お店で出す料理にしてくれって言われたら躊躇するけど。
能町 例えがいまいち分からないんですけど(笑)、思い切って出せと?
小宮山 そう。僕も鼻歌レベルでできた100曲中、使えるのは5、6曲だったりですけど、すぐできますよ。それを今のタイミングで出していいかどうか悩むだけで。でも、それもあとで考えたらどうでもよかったりしますから。
能町 よく分からないけど、何かやれる気がしてきました(笑)。
小宮山 絶対できますよ。突然ですけど、能町さん、兄弟は?
能町 三人兄弟の真ん中で、上と下がいます。
小宮山 あ~やっぱり。下がいると思った。
能町 えっ、なんで? 何かあるんですか!?

小宮山雄飛×能町みね子

アドラーの本に

僕が思ってたことが

まんま書いてあった。

小宮山 僕、昔から兄弟論に関しては持論があって。長年誰も聞いてくれなかったけど、今注目されてるアドラーの本に僕が思ってたことがまんま書いてあった。要は親の愛を奪われた経験があるかどうかで変わるんです。
能町 あー、それはありますよね。
小宮山 その経験がある兄は、一期一会タイプ。今あるものを大事にする人が多い。僕は兄がいるんですけど、下はもっといいものがあるんじゃないかと、現状に満足できない。真ん中は難しいけど兄寄りの人が多いかな。
能町 私も"兄弟の位置でこうなる理論"は好きなんですけど、三人兄弟は男女関係なく真ん中が一番奔放になると思う。私自身がそうなんですけど。あと三姉妹に関しても持論があるんですよ。
小宮山 三姉妹! それは僕の研究外だから知りたいですね。
能町 長女は穏やかで大人しいけど人をまとめる、典型的なお姉さんタイプ。真ん中は男っぽくて、サバサバしてドライ。一番下はちょっとチャラくて明るくてギャルっぽいイメージ。私はいつも真ん中と仲良くなるんですよ。
小宮山 へえ~。三姉妹の友達いないから分からないけど。
能町 まぁ私も二組しか知らないんですけど(笑)。
小宮山 ちなみに、遅刻がヒドイとか、世間一般の感覚としてダメな人間になる確率が高いのは3、4歳離れた妹のいる兄。
能町 え~、どうしてですか?
小宮山 妹は力で抑えつけられないし、自分がダメなことをしなきゃ親の気を引けないから。で、それが習慣になる。
能町 周りで誰がいるかなぁ……。
小宮山 ワタナベイビーですよ!
能町 アハハ! 改めて周りの人に調査してみよう。
小宮山 今度一緒に、兄弟姉妹論の本作りません?
能町 いいですね。実は"生まれ月理論"も持っていて。私は3月の早生まれなんですけど、学校は4月から始まるから断然不利なんですよ。4月5月生まれの人は圧倒的に有利で運動神経もよく、いまだに苦手意識が抜けませんね。その差でいろんなものが醸成されると思っていて。早生まれは内向きにならざるを得なくて、3月生まれ同士って固まることが多いんです。
小宮山 その違いはありますよね。じゃあその理論も一緒に!
能町 ぜひやりましょう。責任は持ちませんっていう断りを入れて(笑)。

能町みね子 のうまちみねこ 「言葉尻とらえ隊」(週刊文春)などのコラム、エッセイ、漫画の執筆からテレビ・ラジオ出演まで幅広く活躍。近著に「能サポ」「能スポ」(共に講談社文庫)「能町みね子の純喫茶探訪 きまぐれミルクセ~キ」(オレンジページ)など。

小宮山雄飛 こみやまゆうひ ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブディレクター。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュースなど幅広く活躍。ソロでの初ライブが開催決定!詳しくは「hoff.jp」へ!

撮影/野呂美帆
取材・文/大道絵里子
取材協力/和食 木ノ下(南青山)