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スキマスイッチ

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撮影/Jan Buus
取材・文/石原たきび

スキマスイッチ

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 先日、23枚目のシングル「LINE」を発売したスキマスイッチ。テレビ東京系で放送中のアニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』のオープニングテーマだ。

「せっかくのコラボなので僕たちらしさを出したかった。いい意味で視聴者を裏切るような曲にしようと思ったんです。二人で色々と話して、ハチロク(8分の6拍子)の楽曲で作品と上手くハマったら面白いな、と。そういう激しめの曲は今までなかったから初挑戦でした」(大橋)

 メジャーデビューから早12 年が経つが、実は途中で制作のスタイルを大きく変えたという。

「最初の数年はスケジュールに追われるまま、お互い『あそこはこうすれば良かったかな』といった後悔を残しつつも、『はい、次の曲』という感じで…今思えば不健康。データでのやりとりも増えると、直接顔を合わせる回数がどんどん少なくなる。 それだと曲はいいものができても、作っている過程が気に入らない。だから、最近はとにかく会って話し合う。顔を突き合わせて『この部分はこうだね』とか、ああだこうだ言いながら、気に入らない部分があればズバッと言うことも」(常田)

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 20年近い付き合いでケンカをすることもあるのかと聞けば「これまでいざこざは避けていました。それより曲を書かなきゃ、と」(大橋)
 しかし、顔を突き合わせて話し合うようになった今では、殴り合いはしないまでも、意見の相違から激しい議論になることも。周囲のスタッフには緊張が走るが、二人にとっては“全然普通のこと”だという。

「とことん話し合うやり方にしてからは、卓弥もバンバン言ってきますよ(笑)。こっちも『わかってくんねえなあ!』ということがしょっちゅうあるけど、それも楽しい。結果的にかなり時間を取るようになったのでスタッフには迷惑をかけていますが、昔に比べて血が通ったものができているのは確かです」(常田)

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「今の制作スタイルは、二人の温度感も含めてベスト。クオリティーがものすごく高いけど冷酷なものより、ちょっと荒削りでも人間らしい曲の方がいいなあ、と。マシンのように曲を作るやり方をずっと続けていたら、今、スキマスイッチはないんじゃないかと思います」(大橋)

 彼らは自らのライブをよく「試合」に例える。そのための準備は「練習」だ。

「練習の成果を試合でどれだけ出せたかというよりは、ステージ上で上手くぶつかり合えてるかどうかが重要。これができていないときは試合内容が良くない。それに練習以上の成果は本番で出せない、と考えているので、だからこそ幸せなライブのためにはしっかり準備をします。二人のキャラクターや人となりも含めてライブで届けられれば、音楽はもっと広がっていくんじゃないかなと思います」(大橋)

 最後に、「幸福」を感じる瞬間について聞いてみた。

「家電を選んでいるとき(笑)。スペックを全部調べてどれがいいかなとか。最近は人から『選んで』と頼まれることも多くて、先週も姉にオススメの炊飯器を聞かれました。条件を出されると燃えます」(常田)

「ゴルフでもビリヤードでも、好きになるものはだいたい反復練習が必要なもの。ゴルフも始めてから半年間は7番アイアンしか打たないと決めて(笑)。極端なんですよ」(大橋)

 大橋は「ストイックな反復練習が楽しい」と言い、常田は「単純な練習は飽きるので楽しくなる工夫をする」と返す。真逆のタイプの二人だが、共に準備を大切にする思いがあるからこそ音楽という“スイッチ”を通じてとことん話し合える関係性が保たれているのかもしれない。

「LINE」
約一年ぶりとなるニューシングルはよい意味でスキマスイッチファンを驚かせる新しさを打ち出した一枚。カップリングは「第95回全国高校ラグビー大会」大会テーマソングに決定。

<収録曲:初回生産限定盤/通常盤共通>
M1.LINE
M2.ハナツ
M3.スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!!‐2‐
M4. LINE(backing track)
M5.ハナツ(backing track)

<BONUS DVD:初回生産限定盤のみ>

スキマスイッチ 大橋卓弥(ボーカル、ギター)、常田真太郎(キーボード、コーラス)のソングライター2人によるユニット。2003年にメジャーデビュー。代表曲は「奏(かなで)」「全力少年」など。11月11日にTVアニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」オープニングテーマとなるニューシングル「LINE」発売。

撮影/Jan Buus 取材・文/石原たきび
ヘアメイク/小林正憲(SHIMA) スタイリング/袴田能生(juice)

ヘアメイク/小林正憲(SHIMA) スタイリング/袴田能生(juice)