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西田あい

愛され上手

1988年7月14日生まれ、鹿児島県出身。2010年歌謡曲歌手としてデビュー。美人演歌歌手として注目を浴びる。2016年10月19日第7弾シングル「最後の頁」リリース。BS日テレ「歌え!昭和のベストテン」毎週土曜21:00~、bayfm「The BAY☆LINE」毎週木曜16:00~、文化放送「西田あいのおしゃべりあいランドBAR」毎週土曜QR17:45~/HBC17:50~、毎週日曜SF18:00~/OBC17:00~

西田あい

愛され上手

「ありがとう愛され上手」

2017.3.20

このコラムを読んでくださっているという方とお話をした事があるのですが「飛行機で書くことが多いのは何故ですか?」と聞かれました。
「何故だかわからないけど、空港や飛行機というどこか非現実的な空間にいる時に言葉が浮かんだりテーマを思いついたりするみたいなんです、私。」と答え、今回はまた少し違った形ではありますが、飛行機での移動中に起きたことがきっかけで書き始める事になりました。

その日は、翌日早朝からの仕事の為、東京から鹿児島へ前のり(前の日に前もって現地に到着しておくこと)する日。
早めに搭乗口へ着き、お手洗いも済ませ、近くのベンチに腰掛けながら先程食べたばかりの肉そばの写真をTwitterに書き込んだりしながら搭乗を待っていた私の前を、ササササっと通り過ぎていく女性。

「ん?あの横顔は・・・まさか!」
スタスタとお手洗いに行く後ろ姿を見ながら、ひょっとして、中学の時の担任の先生ではないかと思い・・・思わずTwitterに「中学の時の担任の先生らしき人がいる。声かけようか、かけまいか。」と投稿。

お手洗いから出てきた時に声を掛けてみようと思ったものの、中学校で2年間も担任をしてもらっていた先生に羽田空港でばったり会うなんて・・毎日のように飛行機を利用していても、なかなかない事だから声をかけてみたいのだけど、万が一そっくりさんだったらどうしよう・・と、ためらった私は結局声をかける事ができないまま飛行機へ乗り込むことに・・。


機内では、隣に座るマネージャーさんに一部始終を話しながら、興奮もあってか一睡もできず
あっという間に鹿児島空港へ到着。
到着してからTwitterを確認すると、声をかけてみて!とファンの人から声援が・・

そんなあと押しもあり、勇気をふりしぼって声をかけようとした瞬間、その先生らしき人!またお手洗いに行ってしまい、声を掛けられず・・・。うぅ、なんでこういう時に限ってタイミングが合いそうで合わないのか。

お手洗いの前で待ち構えるのもおかしいと思い、先に手荷物受け取り場まで行き、そこでまたこのまま到着ゲートを出てしまおうか・・とよぎるのですが、ここを出たらもう声をかけるチャンスが無くなってしまうかもと思いなおしたのと同時に、待つ選択をするであろうと気づいていたのかマネージャーさんが「待っている間にお手洗い行ってくるよ」と一言。

もしも先生だったら、13年ぶりの歓喜の再会になるわけで・・・
先生じゃない場合は、まったく知らない人に声をかけるお恥ずかしい瞬間になるわけで・・・

「ひとりにさせないで」とマネージャーさんにお願いをして、一緒に待ってもらうことに。


そして、待ちに待った瞬間!
先生らしき人が登場!!
階段を下りてきて、すぐ私の目の前にきました・・!

「先生・・・?」「先生ですよね?」「あいです・・・!」「わかりますか・・・?!」「あいです・・・!」
声を掛けながら、再会の喜びと、まだそうでないかもしれない不安に思わず質問攻めに!

先生らしき人は、やっぱり中学の時の担任の先生で、すぐに私だと分かって下さり
「きゃ~久しぶりぃ~元気ぃ~」と私の手をつかんでハグをしてくれました。

この先生、私が留学する時、たくさん心配をかけて、一番背中を押してくれた存在でした。

そんな先生が一言「あい、頑張っているわね~!いつも活躍見てるよ!」と。
留学先から帰国したときに、一度挨拶に行ったきり、デビューの報告もできていないまま、少し後ろめたさを感じていたのですが、先生は私が歌手になったことを知っているどころか、私の知らないところでずっと応援してくれていたんだそうです。

この時、ハッとしました。

西田あいとしてデビューした時、そしてデビューしてからのこれまでも、私の知らないところでいつも誰かが応援してくれていること。

今回の思いがけない再会を通じて
先生に声をかけようか迷っていた時に、Twitterで行く末を見守っていてくれたファンの人たち・・
先生を待つために、お手洗いに行くのを我慢してくれていたマネージャーさん・・
そんな風に色んな人たちに支えられて、私は日々過ごしているんだなぁとしみじみ感じるのです。


実は、今回でこのFILTコラムは最終回となるのですが、
今回まで読んで下さったFILT読者のみなさま・・
これまでこのコラムで書いてきた物語に関わる色んな人たち・・
何年後かに「このコラムを読んでました。」そんな人と出会える日も、くるのかもしれません。


今まで当たり前に過ごしてきたことも
コラム執筆のおかげで様々な人やモノに想いを馳せるということを知る事ができましたし、細かい気づきを大切にするようになりました。

「FILT」は「愛され上手」になるためのヒントをたくさん掴めた、私にとってのかけがえのない場所です。


ありがとう「FILT」。
ありがとう「FILT読者」のみなさま。

また会えるその日まで・・





最後に・・・先生へ
今度コンサート見に来てください…!