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小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!

小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

音楽その22・中編その2

2017.2.20

ネットの登場がミュージシャンを常識的にしたということを前回書きました。
ライブやアルバムという非日常の世界から、ネットという日常社会にミュージシャンの活動の場(本人がネットで活動しているかどうかは別としても、話題として取り上げられる場)が変わったことで、ミュージシャンも自ずと社会常識を求められるようになったわけです。

しかし面白いことに、元々のネットの世界って今とは真逆だったんですね。

今の20代くらいの人たちは、小さい頃からネットがあるのが普通の世界で育っているので分からないかもしれませんが、もともとネットが「パソコン通信」などの呼ばれ方で登場した頃って、今とは全く状況が違ったんですね。

ネットの初期の頃というのは、むしろマイノリティの世界だったんです。
例えば同性愛者や特定の(変わった)趣味の持ち主など、一般社会でのマイノリティの人たちが、アンダーグランドで情報交換したり、出会いを探したりする場がネットだったんです。

一般の社会やマスのメディアでは言えないようなこと、マニアックな趣味嗜好を共有できる場、つまりは「常識」と真逆のところにあるのがネットだったのです。

それがスマホやSNSなどの発達で、すっかりネットが一般化し、ライブやアルバムなどのクローズドな世界はもちろん、ラジオやテレビなどの既存のマスメディアよりも大きな影響を誇るようになったことで、ネットの世界でも一般常識が必要とされるようになりました(むしろネットの方が、少しでも常識外のことがあると揚げ足取り的に扱う、超常識的な社会にすらなりつつあります)。
そんなわけで、ミュージシャンもいいアルバムを作っていいライブをやってればプライベートがめちゃくちゃでも許された時代から、ステージを降りた日常生活でも良識・常識を持たなくてはいけない時代に変わったわけです。

しかし、それってほんとに意味あるでしょうか?

これまたなかなか面白くなってきたので、さらに次回に続けましょう!