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小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

ホフディランのボーカルにして渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。「TORANOMON LOUNGE」のプロデュース、食関連の番組レギュラーや雑誌連載も担当するなど幅広く活躍。
詳しくは「hoff.jp」へ!

小宮山雄飛

小宮山雄飛の〈音楽〉

音楽その19

2016.9.20

うどんチェーンのはなまるうどんでは、店内でいつもビートルズがかかってます。
おそらく有線のビートルズチャンネルをかけているのだと思いますが、ビートルズ好きとしては訪れるたびに不思議な安堵感を覚えます。
僕は貧乏性で、はなまるうどんではいつも『かけ小』しか頼まないのですが、シンプルなかけうどんとビートルズのベーシックなポップソング(特に初期のロックンロールナンバー)は実によく合って、ミュージシャンとしても原点回帰するような癒し感を感じます。

話は変わりますが、はなまるうどんにおいて『かけ小』とその他のメニューの値段差はなんとかならないでしょうか?
『かけ小』の値段は130円と実に格安です。しかしこれが『ざる』や『ぶっかけ』になった途端に300円になります! トッピングで高くなるならまだ分かりますが、『ざる』はつけ汁につけるだけ、『ぶっかけ』はレモンと大根おろしが加わるもののつけ汁をかけただけの、どちらもいわゆる素うどんです。あきらかに原材料で言えば値段は『かけ』と同じのはずなのに(むしろ出汁をしっかり使うかけの方が高いかも)、なんでいきなり倍以上の値段になるんでしょう!?

某グルメ漫画では、はなまるうどんにおける『かけ』はあくまでサービスメニューであって、採算度外しであると、うどん好きならばむしろ『かけ』以外やトッピングを頼んで適正なお金をお店に落とすべきと書いてありましたが、僕はどうにもこの値段差が納得できないのです・・。

いや、単に貧乏性で言ってるだけではないですよ!
大げさなようですが食べ物っていうのは人の生活の基本ですから、値段もしっかり公正であるべきだと思うのです。量を倍食べれば倍の値段がかかるとか、素材や手間の値段をそのまま反映すべきだと思うんですよ、それでこそ食べ物の大事さが分かると思うんです。だから食べ放題とか大盛り無料とかも、単に損得だけで無駄に消費を煽っていて、食べ物の大切さが分からなくなるのでよくないんじゃないかなと。なので『かけ』だけ妙に安くて、他のメニューは高いというのは、値段に整合性がなくて、食育的にはあまり良くないと思うのです。
はなまるさん、そろそろ『かけ』だけ安いシステム、やめてみてはいかがでしょう?

話が完全にズレました・・・。
ということでお話はBGMのビートルズについてです。
はなまるうどんにおけるビートルズは有名ですが、先日新しくできたうどん専門店に行ったら、そこもビートルズがBGMだったのです。おそらくうどん業界で働く人は、はなまるうどんには少なからず行ったことがあるでしょうし、はなまるうどんのBGMがビートルズというのもそれなりに知ってるはずです。なのに、なぜ同じうどん店(しかもこだわりの個人店)で、はなまるうどんと同じビートルズをBGMにするのかとても不思議に思ったのです。

そこで店主に経歴を聞いてみたら、都内の某有名うどん店で働いていて独立された方だったのですが、そのお店の前は同じく都内の有名なチェーンの焼肉グループにいたそうです。つまり最初から個人でうどん修行をしたような素人ではなく、むしろ飲食業界の運営・経営をしっかり学んでいる人だったのです。
そんな飲食のプロが、あえてBGMとしてはなまるうどんと同じビートルズを選んでいたわけです。
つまりこれは単なるビートルズ好きではなく、明らかにお客さん=大衆の趣味嗜好の絶対公約数的に、最もポピュラーなビートルズをBGMとしてかけているのです。
実は、はなまるうどん以前から飲食業界には「ビートルズをかけているお店は一般客を意識している」という説があります。食べ物屋さんでBGMを気にしてみると、意外とそのお店のコンセプトや目指しているところが分かったりして面白いものです。