FILT

 柔道家であり、現在はタレントとしても活躍している篠原信一。意外と言ったら失礼かもしれないが、彼にはアウトドアな一面がある。
「もともとバイクが好きなので、緑に触れたいなと思ったら田舎のほうにツーリングすることが多いですね。都会から離れていくうちに、山や川といった自然が目に飛び込んでくるし、とにかく風が気持ち良い。これは感覚的なものかもしれないですけど、匂いも変わってくるような気がして。バイクで走っていて『あ、何かいい感じ』って思うことがあります。バイク好きと言っても、僕はスピードを出すとか、峠を攻めるといったことには全く興味がない。気持ち良く走って風景が楽しめたら、それだけで十分なんです。今、気になっているスポットは、奈良県にある『みたらい渓谷』。車では行ったことがあるので、今度はぜひバイクで。古民家にも興味があって、いつか住んでみたいなと思っています」
 自然に触れることが、いい気分転換になると語る。都会とは異なる景色はもちろんだが、屋外での食事もまた格別だとか。
「不思議なんですけど、田舎のほうで食べると何であんなに美味しいんでしょうね。焼き魚や、ただイカを焼いただけのメニューも、都会とは全く違う味に感じられる。普段だったらしょっぱいなと思う味付けさえもウマいと思えるんですよね。自然の緑や風がそうさせているのかな。時間がなくて遠くに行けない時は、家の庭でバーベキューをするんですよ。今年の7月、8月はアウトドア好きの人にも負けないくらいやりました。家の外で食べることってイベントみたいなもの。3日連続の時もあったし、1日おきにやったことも。明るい時間から始めると楽しいんですよね。子どもたちも喜んでいましたよ、初めのうちは。回数が多すぎたのか、途中からは『また、今日も?』って言われました(笑)」
 バーベキューやツーリングのほかにも“屋外”で楽しむ趣味を持つ。
「家庭菜園にハマっています。とにかく、土を触りたいんですよ。きっかけは嫁さんから『土を触ることであなたの根性悪い性格が良くなる。気持ちが優しくなる』と勧められたから(笑)。どうせやるならと思って、プランターではなく庭の一角に専用の場所を作りました。レンガや土、肥料などをホームセンターで買ってきて、花の種を蒔いたり、苗を植えたり。芽が出て花が咲くと嬉しいんですよ。土によって成長の度合いが変わってくるから、近所の畑をやっている人から何袋かもらって、それを混ぜながら野菜を作るんです。農薬を使ってないから苦手な虫と闘いながら。でも、嫁さんは虫が平気なんですよ(笑)。今では、オクラ、ピーマン、ゴーヤなど。ミニトマトやナス、きゅうりなんかは、ひと夏スーパーで買わなくても大丈夫なくらい採れますよ」
 土に触れたことで自身にどんな変化が表れたのか、気になるところ。
「これがねぇ、嫁さんからは『全然変わってない』と言われます。簡単に変わるものじゃないんですね(笑)。ただ、家庭菜園を始めたことで子どもたちと触れ合う機会が多くなりました。今でも、そんなに長い時間ではないですが、一緒に野菜を作ったりしながら会話をしたりして。バーベキューもですけど、子どもとの接点が増えたことは大きな変化なのかもしれません。都会を離れて何かをするということは、なかなか大変だし面倒なことですけど、まずは山や川など、自然に触れてみることが大事。行ってみたら好きになるかもしれないし、好きになったらそのことについていろいろ考えたり工夫をしたりする。きっかけは何でもいいので、好きになること、興味を持つことが大切。“好きこそ無敵”です。何も考えずに都会を飛び出したら、面白い発見があると思います」

篠原信一 しのはらしんいち 柔道家。1973年1月23日生まれ、兵庫県出身。シドニーオリンピック柔道100キロ超級にて銀メダルを獲得。2003年に現役を引退。柔道部監督を経て、現在はタレントとしても活躍中。『SP内閣』(中京テレビ)、『水野真紀の魔法のレストランR』(MBS)などにレギュラー出演中。

ヘアメイク/NOBU(HAPP'S.) スタイリング/中西永人(JOE TOKYO)

CONTENTS