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ショーン・K

 甘いマスクに魅惑の重低音ボイスで、朝の情報番組「とくダネ!」やJ-WAVEのビジネス番組「MAKE IT 21」に出演し、コメンテーターや番組パーソナリティとして活躍しているショーン・Kさん。タレント顔負けの華やかさながら、本業は現役バリバリの経営コンサルタントだ。しかしこのお仕事、よく耳にはするけど具体的にどんなことをするの?
「一言で言えば企業のお悩みに関して問題点を見つけ出し、解決策を提案する仕事です。悩みは大きく分けて二つある。現状からさらに成長したい場合と再生したい場合ですね。人の体に例えると、健康な状態だけどもっと体力を上げたいというのが成長のコンサルティング。もう一つは病気などマイナスの状態からゼロに戻したいのが再生のコンサルティングです。前者の場合は、成長するための青写真を描き、必要な経営資源、経営機能を整え実行して成果を出す、というプロセスにお付き合いする。後者はどれくらい病気が重いのかの判断をして原因を探り、状況によっては解散や清算という方向もあります」

「また、パートナーと組んだり買収してもらうことで再生できることもある。様々な方向がありますが、いずれにしても処方箋だけを出して済むことはまずありません。患者が調剤薬局まで行って薬を手に入れたのか、ちゃんと飲んでいるのか、生活習慣は改善されたのか。そこまで見ていかなければいけないから、ものすごく手間はかかるし、皆さんが『経営コンサルタント』という名前から想像される世界とは違うと思いますね」
 企業の大事な局面を裏から支える本業を持つショーンさんだが、なぜテレビやラジオに出演することに?
「クライアントの企業が海外のエキスポや展示会に出すプロモーション用のVTRを作る時、英語やフランス語のナレーションを「ショーンさん、声がいいからやってもらえない?」と頼まれて、「別にいいですよ」と始めたのがきっかけなんです」
 あの印象に残るCM「インテル、入ってる」のナレーションも実はショーンさんの声。仕事が仕事を呼び、ショーンさんの魅惑の低音ボイスはどんどん活躍の場を広げた。

「2000年になる手前、たまたまJ-WAVEに番組提案をできる機会があって。私は音楽もタウン情報も詳しくないし、できるとすれば経営者や起業家と話をして面白いエピソードを引き出したり、悩みを抱えたリスナーの相談にのったり、あるいは英語の表現などを教えられることくらいかなぁと思いながら企画書を書いてお持ちしました。そしたら番組のタイトルも内容もそのまま採用されたんです(笑)。それが『MAKE IT 21』。しかも、今まで15年も続き…番組を聞いた代理店の方に声をかけられテレビコマーシャルのナレーションを本格的にやることになり、もう30~40本はやっています」

ショーン・K

「6年前には小倉智昭さんから『実はラジオを聴いていました』と言っていただき『とくダネ!』が始まりました。そして今年の2月からは『報道ステーション』も始まって…。『とくダネ!』みたいに隣に中瀬ゆかりさんがいたら苦手な話題は逃げられますが、古舘さんとは一対一なので逃げ場がないからどうしようかと(笑)」
 隔たりがあるように思える二つの仕事に共通項も多い。本業と副業で影響し合うことは?

「中学生の頃からこの番組を聞いてモチベーションを上げ、アメリカの大学に行き弁護士になった人もいるし、この番組に出たいと思って起業し本当にこの番組に出ちゃった人もいる。また、リスナー同士のコミュニティから経営塾が立ち上がり、そこに途中から私も参加しています。だからラジオ番組というよりも、人が集まるための場になっている。そこは番組を続けてきた私の誇りにもなっていて。だから、今後は今あるものをきちっと守ることが一つの目標ですね。 クライアントやリスナー、視聴者に対してもそうです。守るというのは変化しないという意味ではなく、進化しつつもそこにちゃんと居続けるということ。そのためには努力が必要だし、大それたことをするよりも、チャレンジングなことじゃないかと思っているんです」

「コメンテーターや番組パーソナリティの仕事は、今起こっているニュースや現象の現状分析をして発言しますから、それは私の本業と同じなんですね。企業の問題は顕在化していることが少ない。咳は出ているけど原因が分からないから、風邪なのか肺炎なのか別のものなのか、まずそれを患者さんとの会話やコミュニケーションの中で探っていきます。コメンテーターも司会の方に質問をしながら核心に迫って答えを見つける。そういう意味では同じ筋肉なんですが、自分の守備範囲じゃなかった中東問題やウクライナ情勢みたいなことを解説するのは、今まで使ったことのない筋肉なのでとても面白いですね。 面白さ、やりがいでいうと、長年やっているラジオ番組では、いろいろなことがありました」

ショーン・K アメリカ合衆国 ニューヨーク市出身。現在、東京、ニューヨーク、パリ、シンガポールなど7都市を拠点に経営コンサルティング業務に従事。また「MAKE IT 21」(J-WAVE)、「とくダネ!」(フジ系)などのラジオ、テレビ番組のナビゲーターやコメンテーターとしても活躍。自著も多数。

ショーン・K

小宮山雄飛です。本業がありつつラジオのパーソナリティやテレビにも出てるという点では僕も同じ立場なので、ショーンさんの意見は色々と参考になりました。おそらく一番健全な本業と副業のあり方って、ショーンさんが語っているように、本業からいろんなつながりで副業に広がって行ったり、また本業でのノウハウがしっかり副業にも生かされていたりという、相互関係の良さにあるのかなと。単にどちらかがメインでどちらかがサブとか、どちらかが収入源でどちらかが趣味みたいなことではダメなんでしょうね。なにかこの企画『本職』の核心をすでに2回目にして捉えてしまった感のある素晴らしいインタビュー。ショーンさん、ありがとうございます!

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