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寿大聡

寿大聡のコラム侍

仲代達矢主宰の無名塾出身。2013年 三池崇史監督作品『地球兄弟』主演。同年、ローマ国際映画祭特別上映作品に選ばれ、三池崇史監督と共に同映画祭のレッドカーペットを歩く。その他主演作:長崎の鐘/紀伊国屋ホール、婢伝五稜郭/俳優座劇場、荒木町ラプソディー/シアターX、蜩ノ記/NHKラジオドラマ、五稜郭残党伝/俳優座劇場、夜を急ぐ者よ/俳優座劇場、他、映画ドラマ多数出演

『選択』

2015.6.20

さぁっ、ということで今月からコラムを書かせて頂きます寿大聡(じゅだい さとし)で御座います。
コラムのテーマは自由です!との事なので、その時思った事、感じた事を少しでも面白く書ければと思います。
昨日まで六本木俳優座劇場にて舞台があり、今回は激しいアクションシーンもあったので、公演中は覚醒していてそこまで感じないのですが、千秋楽を終えると、どっと疲れや身体の痛みが出ますー
いやいや、殺陣中に可愛い後輩のタックルがはいり、あばら骨が稽古中からずっと気になっていて、今日やっと病院に行きましたら、やはり2本ほど折れちゃってましたー
今コルセット姿でパソコン前に座しておりますー

さて、今回の六本木俳優座劇場での公演ですが、直木賞作家佐々木譲氏の名作ハードボイルド小説「夜を急ぐ者よ」の舞台化でして、主人公原口泰三役を演じさせて頂きました。
1970年代、激動の時代に出会った男と女が運命に翻弄されながらも必死に生きていくという作品です。
譲先生とはかれこれ4本、再演を含めたら5本コンビを組ませて頂いていて、公私共にいつも色々な話を聞いてくれます。昨晩の打ち上げ中に譲さんに今回のコラムの事を相談したところ、舞台の裏話とか書いたら良いんじゃない?とアドバイスを貰いました。
が、しかーし、どこまで書いて良いものやら大丈夫なものやらという感じですので・・・。
また機会がありましたら、面白話がありましたら書かせて頂きます!

今月はいきなりですが「選択」という事について自分なりに考えたいと思います。
人生の岐路において、そして普段の生活において、今日のスーパーやコンビニでも「選択」をしながらほとんどの方、大人も子供も生きていると思います。
そもそも、「選択」が出来るという環境は、「選択」が出来ないという環境より、はるかに自由で豊かな状態であります。しかしながら、「選択」が出来るという環境は、「選択」が出来ないという環境より、人を悩ませたり、優柔不断にさせたり、更なる欲を出させたり、等の状態も生みだす事でしょう。
僕の大好きな俳優ロバート・デ・ニーロはあるインタビュー中に「才能とは選択だ」と話していました。
僕の映画の師である三池崇史監督は、成功の秘訣は「選択しない事」と話していました。
深いですねー
僕は、母親がアルパチーノの大ファンだったのでアルパチーノ作品ばかり(あんな過激な作品ばかり)を幼少から観たり、父が映画館や芝居小屋に連れて行ってくれたりした事で、芝居に関する興味が芽生え、映画好きで役所広司先輩への尊敬もあり、学生時、無名塾を受験し入塾しました。
今考えると、これが僕の人生で初めての大きな「選択」だったのかもしれません。
それまでは、自分なりには目の前の事を頑張ってきたつもりはあったのですが、やはりレールの上というか、自我が芽生えていなかったというか・・
無名塾に入塾する時は、新しく人生を進め、切り開いたこの道を幸せに思いました。その時、この「選択」が半端じゃないものになるとは知らずに・・・

僕の時の無名塾修業期間における生活は、毎朝4時半起き、その後2時間稽古場の中や周りの掃除、終わり次第、砧公園を男は毎日8~10キロランニング、その後仲代達矢師匠からマンツーマンのレッスン(振り向くだけの芝居に数時間、一言のセリフに数時間と仲代さんの気が済むまで続く)、家に帰って明日のセリフを深夜まで覚える、が月~土まで続きます。スニーカーを履くこと、ジーパン及びハーフパンツを穿くこと、買い食い、立ち食い、歩き食い、塾内恋愛、バイク及び自転車に乗ること等々の禁止、書き出したらキリが無いほど規律があり、アルバイトも禁止でお金もないので砧公園で細竹の筍をとって稽古場で煮たり・・・
その他、師匠の身の回りのお世話、運転手は勿論、靴下も履かせたりと・・・
右も左も芸能を知らない僕を合格させて頂き、一切お金も取らず一から手塩にかけて育ててくれた事、心から感謝してますが、久しぶりに今諸々思い出したらかなりパンチありました!
「選択」によって味わったこの経験が今後の人生にどう影響してくるのか!?
いや、いい感じに影響してくれよ頼むよ人生さん!!

という事で、皆様は「選択」についてどう思われますか?
僕は何が良い「選択」で、悪い「選択」なのか、まだわかりませんが、お世話になっている方々や仲間を大切にすることで自然と選ぶべき方向は見えてくるのではと思います。
なので今は、川に流れる小船のように流れに身を任せて、目の前の芝居を必死に頑張っていきます。
ありがとうございました。
また来月よろしくお願いいたします!


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